魔法使い時々王子
アリスは息を殺しながら、カシウスたちの会話に耳を澄ませた。
「書面でお送りしたとおり、星晶の件はお考え直しください」
そう言って、ミロ王国の大臣が額の汗を拭った。
「……あの場所は聖域です。
王であろうと、足を踏み入れることは許されておりません」
しばしの沈黙ののち、
手を組み、顎に乗せていたカシウスがゆっくりと口を開いた。
「星晶が極めて神聖なものであることは理解しています。
そして、その力が計り知れないものであることも」
淡々とした声だった。
「ですが、国王陛下はこう仰っています。
星晶を正しく用いれば、国民の暮らしはより豊かになる、と」
──星晶?
アリスは思わず眉を寄せた。
知らない言葉だった。
それ以上聞き続けるのが怖くなり、アリスはそっと壁から離れた。
「……星晶がどうのって言ってる。
星晶って、なに……?」
小さく囁くと、隣に立っていたリトが視線を落としたまま答えた。
「星晶か……」
少し間を置いてから、静かに続ける。
「この世界に、ごくまれに存在する結晶だ。
大地の奥深くで長い年月をかけて生まれる、
魔力が極限まで凝縮されたもの」
アリスは息を呑んだ。
「魔法使いが使う魔力とは、比べものにならない。
星晶一つで、国一つ分の魔力を賄えるとも言われてる」
「そんな……」
「だから、禁忌なんだ」
リトの声は淡々としていたが、その目はどこか硬かった。
「星晶がある場所は聖域。
誰も立ち入ってはいけない場所として、
何百年も前から掟で守られてきた」
「使えば国は豊かになる。
でも同時に、必ず歪みが生まれる」
アリスは、先ほどの大臣の必死な表情を思い出していた。
「……それを、イスタリアは欲しがってるのね」
リトは小さく頷いた。
「ミロにとっては、
今まで大切に守ってきた掟そのものを壊せ、って言われてるようなものだ」
アリスの胸が、ひどくざわついた。
そして──
この話が、きっと自分と無関係ではないことも。
「書面でお送りしたとおり、星晶の件はお考え直しください」
そう言って、ミロ王国の大臣が額の汗を拭った。
「……あの場所は聖域です。
王であろうと、足を踏み入れることは許されておりません」
しばしの沈黙ののち、
手を組み、顎に乗せていたカシウスがゆっくりと口を開いた。
「星晶が極めて神聖なものであることは理解しています。
そして、その力が計り知れないものであることも」
淡々とした声だった。
「ですが、国王陛下はこう仰っています。
星晶を正しく用いれば、国民の暮らしはより豊かになる、と」
──星晶?
アリスは思わず眉を寄せた。
知らない言葉だった。
それ以上聞き続けるのが怖くなり、アリスはそっと壁から離れた。
「……星晶がどうのって言ってる。
星晶って、なに……?」
小さく囁くと、隣に立っていたリトが視線を落としたまま答えた。
「星晶か……」
少し間を置いてから、静かに続ける。
「この世界に、ごくまれに存在する結晶だ。
大地の奥深くで長い年月をかけて生まれる、
魔力が極限まで凝縮されたもの」
アリスは息を呑んだ。
「魔法使いが使う魔力とは、比べものにならない。
星晶一つで、国一つ分の魔力を賄えるとも言われてる」
「そんな……」
「だから、禁忌なんだ」
リトの声は淡々としていたが、その目はどこか硬かった。
「星晶がある場所は聖域。
誰も立ち入ってはいけない場所として、
何百年も前から掟で守られてきた」
「使えば国は豊かになる。
でも同時に、必ず歪みが生まれる」
アリスは、先ほどの大臣の必死な表情を思い出していた。
「……それを、イスタリアは欲しがってるのね」
リトは小さく頷いた。
「ミロにとっては、
今まで大切に守ってきた掟そのものを壊せ、って言われてるようなものだ」
アリスの胸が、ひどくざわついた。
そして──
この話が、きっと自分と無関係ではないことも。