魔法使い時々王子
「ただいまー」

土の匂いを連れて、セラが入ってくる。腕には籠があり、中には淡く白い光を帯びた薬草が収められていた。

「月白草、順調だよ。今期分は問題なさそう」

「そうか、よかった」

シドはそう答えたものの、眉間にはしわが寄ったままだった。

「……その顔。どうしたの?」

セラが籠を机に置きながら覗き込む。

「ロザリア様から、また大量に仕事を振られた。
 こっちは雑務係じゃないんだけどな……」

ため息混じりに言うシドに、セラはくすっと笑う。

「信用されてるってことじゃん。諦めなよ」

「そういう問題じゃ……」

言いかけた、その時。

窓辺から、かすかな羽音がした。

白い紙でできた小さな鳥――紙鳥が、ふわりと室内へ舞い込み、シドの机の上に降り立つ。

シドは一瞬、言葉を失った。

「……来た」

紙鳥をそっと手に取る。
そこに込められた魔力の気配を感じ取ったセラは、何も言わず一歩下がった。

「アリス様から?」

シドは小さく頷き、紙鳥を解く。

胸の奥が、嫌な予感と共にざわめいていた
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