魔法使い時々王子
執務室に入ると、ロザリアは扉が閉まるのを待ってから、ゆっくりと手をかざした。

空気が、わずかに震える。

透明な膜のようなものが部屋を包み込んだ。

シドはすぐに察する。

「……遮音結界」

「ええ。念のために」

ロザリアは静かに机の前に立った。

「あなたの言う通り。国王陛下は星晶を手に入れようとしているわ。魔法使いとして助言を求められた。」

シドは固唾をのむ。

「……何と答えたんですか」

「星晶には、魔法使いは無闇に近づくべきではない、と」

シドは首を傾げる。

ロザリアは続けた。

「星晶は、魔力の塊。……この国にもあるわ。ほんの砂粒ほどだど。」

「え?」

「王宮の地下深くにね。古い時代の欠片が」

シドの目がわずかに見開かれる。

「でも。ミロ王国の星晶は規模が違う。巨大で、そして純度が高い。……魔法が強すぎるのよ」

ロザリアの声は低く、慎重だった。
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