その天才外科医は甘すぎる~契約結婚のはずが溺愛されています
 「ちなみに、当時その連絡をくださった黒木さんという方は、今はどちらに?」
 「あら、黒木さんは二年前に退職されたわよ」
 「そうですか……」
 「でもね、今でもたまに連絡を取ってるの。確か週に何度かクリニックに入ってるって聞いたわ。もしよければ、連絡を取ってみてあげるけど」
 「本当ですか?ありがとうございます、お願いします」

 真澄は深く頭を下げると、島津看護師長はふと目を細めて真澄を見つめた。

 「でも……急にどうしたの?五年前のことを知りたいなんて。何か、重要なこと?」

 真澄は少し迷った末、静かに言葉を選んだ。

 「はい。とても……自分にとって大事な人のことなんです。どうしても、ちゃんと知っておきたくて」
 「……それって、もしかして奥様のこと?」

 真澄は迷わず頷いた。

 「はい」

 その返事を聞いた看護師長は、ふっと目尻を和らげる。

 「ふふ、本当に変わったわね柊木先生」
 「人間らしくなりました?」
 「ええ、とっても」

 笑いながら言われた言葉に、真澄も思わず小さく笑った。
 でもその目は、やはり真剣なままだった。

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