その天才外科医は甘すぎる~契約結婚のはずが溺愛されています
◇◇◇◇
待ち合わせ場所は、郊外の閑静な住宅街の中にあるクリニックだった。
休日の午後、真澄の車でここに来るまで、澪の心はずっと落ち着かなかった。
もし何も分からなかったら。
知ってはいけないことだったら。
――そんな思いが渦を巻く中で、それでも来られたのは「ちゃんと調べて、約束は果たす」と言ってくれた彼の存在があったからだった。
クリニックは温かな壁紙の色と照明に包まれた、アットホームな雰囲気。ちょうど昼の診療時間外の時間のため、他の患者はおらずスタッフも最小限の人数だった。
「お電話で連絡しました柊木です」
「柊木さんですね。黒木から伺っております、奥のスタッフ休憩室へどうぞ」
真澄が受付の前で名前を告げると、staffonlyの札がかかった部屋へと案内される。真澄に促されて澪がドアをノックすると、中から「どうぞ」と優しい女性の声が返ってきた。
グレーのカーディガンに身を包んだ年配の女性が、にこやかに立ち上がって二人を出迎えてくれる。
「はじめまして、黒木と申します。わざわざこんなところまで来ていただいて」
「こちらこそ、突然お時間をいただいてありがとうございます」
真澄が丁寧に頭を下げたあと、澪も隣りで頭を下げた。
「いえいえ、私も長く病院にいたから。こういう再会も悪くないわ。柊木先生もあの頃から一層立派になられて。それにご結婚されていたのね?」
ふふ、と軽く手を当てて微笑む。その仕草のひとつひとつに、長年医療の現場にいた人ならではの落ち着きが滲んでいる気がした。
待ち合わせ場所は、郊外の閑静な住宅街の中にあるクリニックだった。
休日の午後、真澄の車でここに来るまで、澪の心はずっと落ち着かなかった。
もし何も分からなかったら。
知ってはいけないことだったら。
――そんな思いが渦を巻く中で、それでも来られたのは「ちゃんと調べて、約束は果たす」と言ってくれた彼の存在があったからだった。
クリニックは温かな壁紙の色と照明に包まれた、アットホームな雰囲気。ちょうど昼の診療時間外の時間のため、他の患者はおらずスタッフも最小限の人数だった。
「お電話で連絡しました柊木です」
「柊木さんですね。黒木から伺っております、奥のスタッフ休憩室へどうぞ」
真澄が受付の前で名前を告げると、staffonlyの札がかかった部屋へと案内される。真澄に促されて澪がドアをノックすると、中から「どうぞ」と優しい女性の声が返ってきた。
グレーのカーディガンに身を包んだ年配の女性が、にこやかに立ち上がって二人を出迎えてくれる。
「はじめまして、黒木と申します。わざわざこんなところまで来ていただいて」
「こちらこそ、突然お時間をいただいてありがとうございます」
真澄が丁寧に頭を下げたあと、澪も隣りで頭を下げた。
「いえいえ、私も長く病院にいたから。こういう再会も悪くないわ。柊木先生もあの頃から一層立派になられて。それにご結婚されていたのね?」
ふふ、と軽く手を当てて微笑む。その仕草のひとつひとつに、長年医療の現場にいた人ならではの落ち着きが滲んでいる気がした。