その天才外科医は甘すぎる~契約結婚のはずが溺愛されています
 「今の仕事は好きか?」
 「はい、好きです」

 ずっと医療に携わる仕事につきたいと思っていた。
 憧れもあった。

 直接患者と関わる機会はほとんどない仕事。けれど、患者が通う病院や医師の役に立てていることが、誰かの命を支える助けになっている。そう思うとやりがいがあった。

 「そうだろうな。君の動きを見ているとそれが分かる」

 さらりとそう言って少しだけ目を細める。
 その整った表情で見られていると思うと、意識していないはずなのに胸がドキリとしてしまう。

 「判断が早く、要点を捉えていて的確だ。無駄な反応もない。だから『向いている』と感じた」
 「……あ、ありがとうございます……」

 「仕事に誠実な人間は信用する。きちんと地に足がついていて、いい」

 これは褒められたのだろうか。
 それとも、単なる取引先への業務的な評価?

 自分に向けられた言葉なのに、どう受け止めればいいか分からなかった。

 (特別な意味なんてないのかもしれないけど…)

 平静を装いながら、胸の奥が熱くなるような感覚に襲われる。
 どうしてこんなに鼓動が騒ぐんだろう。

 
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