裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
 遼一が呟いた。
「だから、今日は聞きたくないの。でも、東京に帰ったらちゃんと聞きます。だから……今日だけでいいから、私、遼一に……」
 頬がかっと熱くなって、耳まで赤くなるのが自分でもわかるくらいだ。恥ずかしくて目に涙が浮かんだ。
 もう一度、掴んだシャツをギュッと握るが、遼一からの答えはない。その彼の反応に、やめておけばよかったと落胆した。
「だけど……こんなの嫌だよね。そうだよね。……へ、変なことしてごめんなさい」
 言い終えて唇を噛むと、胸に虚しい思いが広がった。
 どうしていつもこうなのだろうと、自分で自分が嫌になる。
 彼はちゃんと幼なじみとして和葉を大切にしてくれている。それなのに和葉が、それ以上を望むから傷つくのだ。
 全部、自業自得。
 もうひとりの自分の声を聞きながら立ち上がった。
「さっきのは忘れて。……お、おやすみなさい」
 寝室へ戻ろうと一歩踏み出した時、不意に腕を掴まれて足を止める。驚いて振り返ると、遼一が和葉を無表情で見上げている。
「遼一……?」
 行動の意図が読めずに、戸惑う和葉の腕を掴んだまま、彼はゆらりと立ち上がる。そして和葉を抱き上げた。
「きゃっ! え、ちょっ……!」
 突然の浮遊感に訳がわからず、目を白黒させる和葉を抱いて、彼は大股にリビングを横切る。もともとドアが開いていた、もうひとつの寝室まで行くと、ベッドの上に和葉を下ろした。
 そのまま、囲い込むように和葉の両脇に手をついた。
 その間、無言、無表情。
 自分を見下ろす冷たい視線に、和葉の背中がぞくりとした。
 怒らせてしまったのだ。
 都合の悪いことは聞かないで、ほしがってばかりの和葉に、さすがの彼も苛立っている。かわいそうだから、優しくしてやっていただけなのに、調子に乗るなと思われたのかもしれない。
「ご、ごめんな——」
 謝罪の言葉は、最後まで言わせてもらえなかった。唇をキスで塞がれて、言葉は彼の口の中へ消えていく。
「んんっ!」
 合図もなく彼は中へ入り込み、はじめから和葉の弱いところを刺激する。その普段とはまったく違う激しさは、彼の怒りそのものだ。
 酸欠と混乱と強い刺激に、和葉がぼんやりとし出した頃、ようやく唇が解放される。至近距離にある彼の目は怒りに燃えていた。
「そんなやり方どこで覚えた?」
「……え?」
「俺と離れている間、ほかの誰かに触らせた?」
 問いかけの意図がわからず、和葉は答えられなかった。
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