裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
——やり方はわからないけれど。
冷たくなった手を動かして、遼一のシャツの裾をそっと掴む。
遼一が、それに気がついて少し震える和葉の手を見つめている。もう一度和葉の顔に視線を戻して、まさかという表情になった。
もう彼の目を見る勇気はなかった。ドキンドキンとうるさいくらいに鳴っている自分の鼓動を聞きながら、思い切って彼のシャツをそっと引くと、遼一が、目を見開いた。本当に?と目線で問いかけてくる。
「和葉……だが……」
そして逡巡している。
その彼の表情に、自分の意図は正確に伝わったと安堵する。けれど同時に、やっぱりこんなの間違ってるかな、と弱気になる。
彼が和葉にキスをしてくれるのは、罪滅ぼしなのだろう。大事な息子を育てていることへの労いの気持ちもあるかもしれない。
幼なじみとして大切に思っている以上、むげにできないのだ。
だとしても、いくらなんでもそこまでは、といったところだろうか。
「和葉……だったら、先に俺の話を聞いてくれ」
両肩を掴まれて向かい合わせになるように角度を変えられる。目を開くと、険しい表情の彼がいた。
「和葉、俺の話を聞いてくれ」
彼の言いたいことは理解できる。キス以上のことを望むなら、ひと言釘を刺しておきたいに決まってる。
けれど和葉は首を横に振った。
「と、東京に帰ったら聞く。絶対に聞くから」
「だけど」
「お願い。今は聞きたくないの」
遼一が口を閉じた。
いくらなんでも、言葉にされてそれでも彼を望むなんてそんなことはできそうになかった。
ほしいのに虚しい言葉は聞きたくない。あまりにも身勝手だとわかってはいるけれど。
「今日一日、私……すごくすごく幸せだった。あなたの操縦する便に樹と一緒に乗れたこと。この街で、ひ、人目を気にせずに三人で過ごせたこと。夢みたいで……だから、東京に帰るまでは幸せなままでいたいの」
こんな言い方をしたら和葉の気持ちが彼に戻っていると告白してるようなものだ。また、ルール違反をしてしまった。でももうどうせもうわかってるだろうしと、少し投げやりな気持ちになる。
和葉は彼を愛していて、彼はその愛に応えられない。その事実が自分の前に立ちはだかり、決して越えることはできない。
「幸せなまま」
冷たくなった手を動かして、遼一のシャツの裾をそっと掴む。
遼一が、それに気がついて少し震える和葉の手を見つめている。もう一度和葉の顔に視線を戻して、まさかという表情になった。
もう彼の目を見る勇気はなかった。ドキンドキンとうるさいくらいに鳴っている自分の鼓動を聞きながら、思い切って彼のシャツをそっと引くと、遼一が、目を見開いた。本当に?と目線で問いかけてくる。
「和葉……だが……」
そして逡巡している。
その彼の表情に、自分の意図は正確に伝わったと安堵する。けれど同時に、やっぱりこんなの間違ってるかな、と弱気になる。
彼が和葉にキスをしてくれるのは、罪滅ぼしなのだろう。大事な息子を育てていることへの労いの気持ちもあるかもしれない。
幼なじみとして大切に思っている以上、むげにできないのだ。
だとしても、いくらなんでもそこまでは、といったところだろうか。
「和葉……だったら、先に俺の話を聞いてくれ」
両肩を掴まれて向かい合わせになるように角度を変えられる。目を開くと、険しい表情の彼がいた。
「和葉、俺の話を聞いてくれ」
彼の言いたいことは理解できる。キス以上のことを望むなら、ひと言釘を刺しておきたいに決まってる。
けれど和葉は首を横に振った。
「と、東京に帰ったら聞く。絶対に聞くから」
「だけど」
「お願い。今は聞きたくないの」
遼一が口を閉じた。
いくらなんでも、言葉にされてそれでも彼を望むなんてそんなことはできそうになかった。
ほしいのに虚しい言葉は聞きたくない。あまりにも身勝手だとわかってはいるけれど。
「今日一日、私……すごくすごく幸せだった。あなたの操縦する便に樹と一緒に乗れたこと。この街で、ひ、人目を気にせずに三人で過ごせたこと。夢みたいで……だから、東京に帰るまでは幸せなままでいたいの」
こんな言い方をしたら和葉の気持ちが彼に戻っていると告白してるようなものだ。また、ルール違反をしてしまった。でももうどうせもうわかってるだろうしと、少し投げやりな気持ちになる。
和葉は彼を愛していて、彼はその愛に応えられない。その事実が自分の前に立ちはだかり、決して越えることはできない。
「幸せなまま」