裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
そんな中で、寺坂家の人たちだけが、遼一に心を砕いてくれた。寺坂家に行く時間だけが、遼一が子供らしく振る舞える心安らげる時だった。
とりわけ『りょうくん』と自分を呼び後ろをついて回る和葉は、遼一にとって特別な存在だった。
父も親戚も自分に見向きもしないくせに、本家の長男として完璧であることを要求する。
そんな中にいて、彼女だけが、遼一に全幅の信頼を寄せてくれ、どんな自分でも『りょうくん、大好き』と言ってくれた。
少し眦が下がる大きな目と桃色の頬。鈴の鳴るような笑い声。
彼女と過ごす時間が、母を失いぽっかり空いた心の隙間を埋めたのだ。
パイロットになりたいという夢を抱いたのは自分だが、父親の反対を乗り越えてでも叶えられたのは、和葉の存在が大きかった。
『大きくなったら、りょうくんのひこうきにかずはをのせてね』
その言葉はずっと遼一の中に存在し、父親との衝突を繰り返し挫けそうになる気持ちを後押ししてくれた。
いつしか遼一は、少し頼りないところのある和葉を守るのが自分の役割だと認識するようになったのだ。
なぜそうなのか、どうしてそうしたいのか。
それに理由なんて要らなかった。和葉は和葉だというだけで全力を掛けて大切にする意味がある。
世間知らずに育っているのは確かだったが、それすらも愛らしく、愛おしい。彼女が泣くくらいなら自分が傷つく方がいい。彼女に降りかかる災いはすべて自分が代わりに受ける。苦労はすべて自分が背負う。
その強い想いが恋愛のそれだと気が付いたのは、自分が高校生の頃。けれど遼一はそれを慎重に隠し通した。
彼女が自分を兄のような存在として慕っているのはわかっていた。不用意に気持ちを気づかれて混乱させ、彼女が悲しむことはあってはならない。
遼一にとって和葉の心は、いつもどんな時も、自分の心より優先されるべきことである。
彼女から気持ちを告げられた時は驚いたが、その瞬間、自分の将来の道筋が決まったと感じた。
愛情で結ばれたからには、絶対に離さない。今まで以上に大切にする。なにからも守る、その力が自分にはある、と。
けれどそれが、思い上がりだったと知ったのは、和葉の父親が倒れた時のことだった。
その知らせを遼一が受け取ったのはバンクーバー便の勤務を終えた直後だった。プライベートの携帯に和葉から、二通のメッセージが入っていた。
とりわけ『りょうくん』と自分を呼び後ろをついて回る和葉は、遼一にとって特別な存在だった。
父も親戚も自分に見向きもしないくせに、本家の長男として完璧であることを要求する。
そんな中にいて、彼女だけが、遼一に全幅の信頼を寄せてくれ、どんな自分でも『りょうくん、大好き』と言ってくれた。
少し眦が下がる大きな目と桃色の頬。鈴の鳴るような笑い声。
彼女と過ごす時間が、母を失いぽっかり空いた心の隙間を埋めたのだ。
パイロットになりたいという夢を抱いたのは自分だが、父親の反対を乗り越えてでも叶えられたのは、和葉の存在が大きかった。
『大きくなったら、りょうくんのひこうきにかずはをのせてね』
その言葉はずっと遼一の中に存在し、父親との衝突を繰り返し挫けそうになる気持ちを後押ししてくれた。
いつしか遼一は、少し頼りないところのある和葉を守るのが自分の役割だと認識するようになったのだ。
なぜそうなのか、どうしてそうしたいのか。
それに理由なんて要らなかった。和葉は和葉だというだけで全力を掛けて大切にする意味がある。
世間知らずに育っているのは確かだったが、それすらも愛らしく、愛おしい。彼女が泣くくらいなら自分が傷つく方がいい。彼女に降りかかる災いはすべて自分が代わりに受ける。苦労はすべて自分が背負う。
その強い想いが恋愛のそれだと気が付いたのは、自分が高校生の頃。けれど遼一はそれを慎重に隠し通した。
彼女が自分を兄のような存在として慕っているのはわかっていた。不用意に気持ちを気づかれて混乱させ、彼女が悲しむことはあってはならない。
遼一にとって和葉の心は、いつもどんな時も、自分の心より優先されるべきことである。
彼女から気持ちを告げられた時は驚いたが、その瞬間、自分の将来の道筋が決まったと感じた。
愛情で結ばれたからには、絶対に離さない。今まで以上に大切にする。なにからも守る、その力が自分にはある、と。
けれどそれが、思い上がりだったと知ったのは、和葉の父親が倒れた時のことだった。
その知らせを遼一が受け取ったのはバンクーバー便の勤務を終えた直後だった。プライベートの携帯に和葉から、二通のメッセージが入っていた。