裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
けれど同時に、和葉と自分の子がこの世に存在するという喜びに癒されるのも感じた。
かつてふたりで誓い合った幸せな未来。もう叶わないと思っていたその世界にだけ存在する奇跡の命が、すでにここにいるという事実に、言葉では言い表せない感情が胸を満たし、孤独の中にいた自分が救い出されるような心地がした。
そして、遼一はもう一度彼女を腕に取り戻す決意したのだ。
あの時に、無理やりにでも真実を明かせばよかった、と今は思う。
だがあの時は、怒りを露わにしてもう遼一のことは忘れたと言い切った彼女の涙を見て保留にした。
告げられなかったのだ。
婚約破棄の真相を話せば、自分の父親に巨額の横領疑惑がかかっているという事実も知ることになる。
まだ濡れ衣を晴らせるという確たる材料が揃っていない中で、それを告げることが自分にはできなかった。新しい生活に奔走し、ギリギリのところにいる彼女にこれ以上の心配事を増やしたくないと思ったのだ。
臆病者だと心底思う。
だがいつもどんな時も遼一にとっては和葉の心が最優先なのだ。
それからは慎重に、彼女の負担にならない範囲で距離を詰め、樹と接することを許してもらえるよう努力した。
樹との時間は、はじめて感じる幸福に満ちた時間で、神経をすり減らすような日々を過ごしてきた遼一にとって希望と活力を回復させる貴重な時間だった。
彼のためにならなんでもできる。彼の幸せは絶対に自分が実現する。そのためになら、なにとも闘うことができる。和葉にしか感じなかった感情をもうひとりの人間に持つことは新鮮で、遼一の心を強くした。
そしてキスを交わしたあの日。
彼女の心が自分に戻りかけていると確信し、今度こそ真実を告げようと決意した。だがそれを、彼女ははっきりと拒絶した。
遼一にとって、和葉の意思は絶対だ。
長い付き合いの中、彼女はそう多くのものを望むことはなかったが、だからこそ和葉がはっきりと意思を示した時は、それに背きたくないと思ってしまう。
だが、こうなってみれば、なにがなんでもあの時に言うべきだったのかもしれない。
かつてふたりで誓い合った幸せな未来。もう叶わないと思っていたその世界にだけ存在する奇跡の命が、すでにここにいるという事実に、言葉では言い表せない感情が胸を満たし、孤独の中にいた自分が救い出されるような心地がした。
そして、遼一はもう一度彼女を腕に取り戻す決意したのだ。
あの時に、無理やりにでも真実を明かせばよかった、と今は思う。
だがあの時は、怒りを露わにしてもう遼一のことは忘れたと言い切った彼女の涙を見て保留にした。
告げられなかったのだ。
婚約破棄の真相を話せば、自分の父親に巨額の横領疑惑がかかっているという事実も知ることになる。
まだ濡れ衣を晴らせるという確たる材料が揃っていない中で、それを告げることが自分にはできなかった。新しい生活に奔走し、ギリギリのところにいる彼女にこれ以上の心配事を増やしたくないと思ったのだ。
臆病者だと心底思う。
だがいつもどんな時も遼一にとっては和葉の心が最優先なのだ。
それからは慎重に、彼女の負担にならない範囲で距離を詰め、樹と接することを許してもらえるよう努力した。
樹との時間は、はじめて感じる幸福に満ちた時間で、神経をすり減らすような日々を過ごしてきた遼一にとって希望と活力を回復させる貴重な時間だった。
彼のためにならなんでもできる。彼の幸せは絶対に自分が実現する。そのためになら、なにとも闘うことができる。和葉にしか感じなかった感情をもうひとりの人間に持つことは新鮮で、遼一の心を強くした。
そしてキスを交わしたあの日。
彼女の心が自分に戻りかけていると確信し、今度こそ真実を告げようと決意した。だがそれを、彼女ははっきりと拒絶した。
遼一にとって、和葉の意思は絶対だ。
長い付き合いの中、彼女はそう多くのものを望むことはなかったが、だからこそ和葉がはっきりと意思を示した時は、それに背きたくないと思ってしまう。
だが、こうなってみれば、なにがなんでもあの時に言うべきだったのかもしれない。