裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
後で母は和葉にそう感想を漏らした。
『仕方がないってどういうこと? 家がどう関係あるの?』
『遼一くんはいずれはお父さんの立場を継ぐでしょう? 橘家は名家だし、結婚相手はそれなりのお相手でないと不都合よ。遼一くんしっかりしてるから、もしかしたらそのあたりも考えてお付き合いしてるのかもしれないわね』
その言葉に、和葉は賭けたくなったのだ。
寺坂家も今はもうほとんど関係ないとはいえ、曽祖父が大学の創始者だったというそれなりに由緒ある家柄だ。加えて父はNANAの副社長。
彼が自分を妹としてしか見ておらず恋愛対象でなくても、母の言う"お相手"の条件は満たしているのではないだろうか。
おりしもこの時、遼一はNANAへの入社を控えていた。パイロット職での採用で入社後は訓練が始まり、会う機会はぐんと減る。振られたとしてもダメージは最小限に留められる。
そんな打算に背中を押された形の告白は、それでも勝算はほとんどないはずだった。長い付き合いの中で彼が自分を妹以上に扱ったことはなかった。
『俺も好きだよ。付き合おうか』
だからそう返された時は、奇跡が起きたと感動し、自分はこの世で一番幸せだと思った。
『これからは……遼一って呼んでいい? その方が大人の付き合いって感じがするし……』
『なら俺は和葉って呼ぶよ』
自分でも単純すぎると思うけれど、呼び方が変わるだけで、彼の中での自分がいる位置が、妹から大人の女性に昇格したようで嬉しくて、この幸せな出来事を生涯忘れないと確信した。
今から考えると、なんておめでたい甘ちゃんだったのだろうと思う。世間知らずで物事を深く考えず、彼の言葉をそのまま信じた。
自分が妹以上に思われていないと知っていたのに。
ふたりの付き合いは両家の親にも祝福されて平和に続いた。関係を周囲に内緒にしていたのは、大学を卒業後、和葉もNANAで働き始めたからだ。
結婚したら母のように家庭に入り彼を支えるべきと両親は考えていた節があり和葉もそうしようと思っていたけれど、だとしても社会人経験が一度もないのはさすがにまずい。
『仕方がないってどういうこと? 家がどう関係あるの?』
『遼一くんはいずれはお父さんの立場を継ぐでしょう? 橘家は名家だし、結婚相手はそれなりのお相手でないと不都合よ。遼一くんしっかりしてるから、もしかしたらそのあたりも考えてお付き合いしてるのかもしれないわね』
その言葉に、和葉は賭けたくなったのだ。
寺坂家も今はもうほとんど関係ないとはいえ、曽祖父が大学の創始者だったというそれなりに由緒ある家柄だ。加えて父はNANAの副社長。
彼が自分を妹としてしか見ておらず恋愛対象でなくても、母の言う"お相手"の条件は満たしているのではないだろうか。
おりしもこの時、遼一はNANAへの入社を控えていた。パイロット職での採用で入社後は訓練が始まり、会う機会はぐんと減る。振られたとしてもダメージは最小限に留められる。
そんな打算に背中を押された形の告白は、それでも勝算はほとんどないはずだった。長い付き合いの中で彼が自分を妹以上に扱ったことはなかった。
『俺も好きだよ。付き合おうか』
だからそう返された時は、奇跡が起きたと感動し、自分はこの世で一番幸せだと思った。
『これからは……遼一って呼んでいい? その方が大人の付き合いって感じがするし……』
『なら俺は和葉って呼ぶよ』
自分でも単純すぎると思うけれど、呼び方が変わるだけで、彼の中での自分がいる位置が、妹から大人の女性に昇格したようで嬉しくて、この幸せな出来事を生涯忘れないと確信した。
今から考えると、なんておめでたい甘ちゃんだったのだろうと思う。世間知らずで物事を深く考えず、彼の言葉をそのまま信じた。
自分が妹以上に思われていないと知っていたのに。
ふたりの付き合いは両家の親にも祝福されて平和に続いた。関係を周囲に内緒にしていたのは、大学を卒業後、和葉もNANAで働き始めたからだ。
結婚したら母のように家庭に入り彼を支えるべきと両親は考えていた節があり和葉もそうしようと思っていたけれど、だとしても社会人経験が一度もないのはさすがにまずい。