裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
そのうちに、ランチタイムに突入し、少し店は忙しくなる。一時間ほどで落ち着いてた頃。
「和葉」
「まんま」
やってきたのは、樹を連れた遼一だ。
「いっくん、遼一。来てたの」
「ああ、昼ごはんを食べにきた」
先月和葉と樹は遼一のマンションへ引っ越して、本格的に家族三人の生活がスタートした。遼一が休みの日は樹は保育園を休ませている。
父と子のふたりの休日は飛行機三昧で、たいてい空港の展望エリアにいる。そしてこうやってHOPHOPに食べにくる。
「いっくん、飛行機いっぱいいた?」
「いこーき!」
たくさん見たのか大満足のようである。
大満足なのは、樹だけではないようで。
「明日、パパが乗る飛行機もあったもんな」
遼一も嬉しそうにしている。
遼一は今月から、取締役を降りてパイロット中心の勤務を再開した。
父親と話し合って決めたようだ。
父の気持ちを理解しつつ、やはり空を飛びたいという気持ちは変わらないのだろう。福原の一件は会社にも衝撃を与えたが、その中でどうやら他の取締役が社長を支える姿勢を見せたようで、豊の考えも変わったようだ。
『いずれは戻ってもらうかもしらんが、今はまだいい』と言われたようだ。
和葉の父ともよく会っているようで、母からはたびたび写真が送られてくる。父にも刺激になるようで、言語回復のリハビリにも意欲を見せるようになっている。
「トッピングはなににしようか。樹なにがいい?」
ガラスケースを覗いて遼一が樹に問いかける。
「チョコ! チョコ!」
樹が彼の腕の中でぴょんぴょんと跳ねた。
「わかったわかった。じゃあ、チョコムースと、チョコアイス、それからいちごで」
遼一がトッピングを注文する。
その呑気なチョイスに和葉はため息をついた。
「そんなのダメに決まってるじゃない。お昼ごはんなんでしょ? いっくんの言うことそのまま聞くんじゃなくてちゃんとしたもの食べさせて」
そう言って、彼のオーダーを無視して、スクランブルエッグに茹でブロッコリー、ハムをトッピングした。
遼一は眉を下げて樹と顔を見合わた。
「トロピカルジュースがあるからな」
本当はトロピカルジュースも微妙なんだけどなと思いながらも、せっかくの父と子の楽しい休日に水を差しすぎるのもなと思いそこは我慢した。
パンケーキができると、ふたりはトレーを持って嬉しそうに席についた。
パンケーキを食べるふたりの姿に、和葉の胸は幸せな思いでいっぱいになる。最愛の人と、大切な息子が、自分の焼いたパンケーキを嬉しそうに食べてくれる。
逃げるように日本を後にしたあの時は、まさかこんな日が来るとは思わなかった。
それから起こったすべての出来事は、今となってはよかった、とはまだ言えない。あまりにも重く苦しかったから。
けれどそれを経験したからこそ今があるとも思う。
大切な人とずっと一緒にいられる。この場所をただ守られるだけでなく、自分の手で守りたいと思うから。
パンケーキを頬張りながら、樹がこちらを見て小さな手をぶんぶんと振る。その隣で遼一が穏やかに微笑んでいる。
和葉は笑って彼らに手を振りかえした。
了
「和葉」
「まんま」
やってきたのは、樹を連れた遼一だ。
「いっくん、遼一。来てたの」
「ああ、昼ごはんを食べにきた」
先月和葉と樹は遼一のマンションへ引っ越して、本格的に家族三人の生活がスタートした。遼一が休みの日は樹は保育園を休ませている。
父と子のふたりの休日は飛行機三昧で、たいてい空港の展望エリアにいる。そしてこうやってHOPHOPに食べにくる。
「いっくん、飛行機いっぱいいた?」
「いこーき!」
たくさん見たのか大満足のようである。
大満足なのは、樹だけではないようで。
「明日、パパが乗る飛行機もあったもんな」
遼一も嬉しそうにしている。
遼一は今月から、取締役を降りてパイロット中心の勤務を再開した。
父親と話し合って決めたようだ。
父の気持ちを理解しつつ、やはり空を飛びたいという気持ちは変わらないのだろう。福原の一件は会社にも衝撃を与えたが、その中でどうやら他の取締役が社長を支える姿勢を見せたようで、豊の考えも変わったようだ。
『いずれは戻ってもらうかもしらんが、今はまだいい』と言われたようだ。
和葉の父ともよく会っているようで、母からはたびたび写真が送られてくる。父にも刺激になるようで、言語回復のリハビリにも意欲を見せるようになっている。
「トッピングはなににしようか。樹なにがいい?」
ガラスケースを覗いて遼一が樹に問いかける。
「チョコ! チョコ!」
樹が彼の腕の中でぴょんぴょんと跳ねた。
「わかったわかった。じゃあ、チョコムースと、チョコアイス、それからいちごで」
遼一がトッピングを注文する。
その呑気なチョイスに和葉はため息をついた。
「そんなのダメに決まってるじゃない。お昼ごはんなんでしょ? いっくんの言うことそのまま聞くんじゃなくてちゃんとしたもの食べさせて」
そう言って、彼のオーダーを無視して、スクランブルエッグに茹でブロッコリー、ハムをトッピングした。
遼一は眉を下げて樹と顔を見合わた。
「トロピカルジュースがあるからな」
本当はトロピカルジュースも微妙なんだけどなと思いながらも、せっかくの父と子の楽しい休日に水を差しすぎるのもなと思いそこは我慢した。
パンケーキができると、ふたりはトレーを持って嬉しそうに席についた。
パンケーキを食べるふたりの姿に、和葉の胸は幸せな思いでいっぱいになる。最愛の人と、大切な息子が、自分の焼いたパンケーキを嬉しそうに食べてくれる。
逃げるように日本を後にしたあの時は、まさかこんな日が来るとは思わなかった。
それから起こったすべての出来事は、今となってはよかった、とはまだ言えない。あまりにも重く苦しかったから。
けれどそれを経験したからこそ今があるとも思う。
大切な人とずっと一緒にいられる。この場所をただ守られるだけでなく、自分の手で守りたいと思うから。
パンケーキを頬張りながら、樹がこちらを見て小さな手をぶんぶんと振る。その隣で遼一が穏やかに微笑んでいる。
和葉は笑って彼らに手を振りかえした。
了

