裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
状況から考えると、諦めるほかない。
子供の父親からは関係を断たれ、仕事もないのだから。
父が倒れ母は介護に手一杯。とてもじゃないが、新しい命を迎える状況にない。医師からは決断するなら早い方がいいと言われた。
そこへ父の妹である叔母が帰国したのだ。
彼女は自立心の強い奔放な性格で、寺坂家の家風に合わず若い頃勘当同然で家を出ていて、結婚離婚を経てシングルマザーとしてハワイで事業を起こし成功を収めていた。
両親とはうまくいかなかったが兄である父は彼女を応援し密かに支援もしてたようだ。厳しかった和葉の祖父母が亡くなってからは、帰国した際は会うようになっていた。
父の見舞いで帰国した彼女に、和葉は藁にも縋る思いで相談したのである。啓が小さな頃に離婚して、ほとんどひとりで彼を育てた『すごい人なのよ』と母から聞いていたからだ。
叔母は、親身になって相談に乗ってくれた。
『そりゃ大変だったけど、私は啓を生んだこと後悔したことはなかったよ』
『……大変でも?』
『うん。苦労するのは折り込み済みだったからね。かずちゃんの状況とはちょっと違うけど、私の場合も産む前から啓の父親が頼りにならないことはわかってた。それでも産もうと思ったのは、啓が誰の子かなんか関係ない、私のところにきてくれたんだから、私の子だと思ったからなの』
『私の子……』
誰の子かは関係ないという言葉に、和葉の心が少し動いた。そもそも叔母に相談している時点で自分が生みたいと感じているのは確かなのだ。
遼一に突き落とされたどん底の世界は真っ暗で、光なんてまったくない。けれどお腹の中の新しい命を消したくないという思いが自分の中に確かにあって、それだけが淡い光を放っている。
けれど育てていける自信がなかった。
"大変だったけれど後悔はしていない"
叔母がそう言えるのは、彼女がもともと強かったからだろう。大切にされ、流されるようにほわほわと生きてきた自分とは違う。
子供の父親からは関係を断たれ、仕事もないのだから。
父が倒れ母は介護に手一杯。とてもじゃないが、新しい命を迎える状況にない。医師からは決断するなら早い方がいいと言われた。
そこへ父の妹である叔母が帰国したのだ。
彼女は自立心の強い奔放な性格で、寺坂家の家風に合わず若い頃勘当同然で家を出ていて、結婚離婚を経てシングルマザーとしてハワイで事業を起こし成功を収めていた。
両親とはうまくいかなかったが兄である父は彼女を応援し密かに支援もしてたようだ。厳しかった和葉の祖父母が亡くなってからは、帰国した際は会うようになっていた。
父の見舞いで帰国した彼女に、和葉は藁にも縋る思いで相談したのである。啓が小さな頃に離婚して、ほとんどひとりで彼を育てた『すごい人なのよ』と母から聞いていたからだ。
叔母は、親身になって相談に乗ってくれた。
『そりゃ大変だったけど、私は啓を生んだこと後悔したことはなかったよ』
『……大変でも?』
『うん。苦労するのは折り込み済みだったからね。かずちゃんの状況とはちょっと違うけど、私の場合も産む前から啓の父親が頼りにならないことはわかってた。それでも産もうと思ったのは、啓が誰の子かなんか関係ない、私のところにきてくれたんだから、私の子だと思ったからなの』
『私の子……』
誰の子かは関係ないという言葉に、和葉の心が少し動いた。そもそも叔母に相談している時点で自分が生みたいと感じているのは確かなのだ。
遼一に突き落とされたどん底の世界は真っ暗で、光なんてまったくない。けれどお腹の中の新しい命を消したくないという思いが自分の中に確かにあって、それだけが淡い光を放っている。
けれど育てていける自信がなかった。
"大変だったけれど後悔はしていない"
叔母がそう言えるのは、彼女がもともと強かったからだろう。大切にされ、流されるようにほわほわと生きてきた自分とは違う。