裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
恵まれた環境を当たり前に享受し、大した苦労もしてないくせに一人前になったつもりでいた自分。なにもかもが未熟な自分。
同僚からの『お嬢さま』という言葉は、服装のことだけを言われていたのではないのだろう。
そんな自分が人の親になっていいのだろうか?
迷う和葉の背中に叔母は温かい手を添えた。
『私もはじめは不安もあったよ。でもね、はじめから完璧な母親なんていないんじゃないかな。子供と一緒に成長すればそれでいいと私は思う。もちろん決めるのはかずちゃんだから、私はどちらの決断も応援するけどね』
和葉の迷いなどお見通しのようだった。
そしてそれが和葉の背中を押した。和葉から見れば迷うことなどなさそうな叔母も生む前は不安だった。けれど子供と一緒に成長し、啓を立派に育てあげた。
生まれてから今まで自分を守ってくれていた温室は、跡形もなく崩れ去った。これからは外の世界で雨と風にさらされて生きていかなくてはならない。そのためには、これまでの自分の甘さを改め、成長する必要がある。
お腹の中の小さな命、生むからには絶対に幸せにしなければならないという責任がある。それが今の自分の原動力となるはずだ。
ようやく和葉の心は決まり、ハワイで出直さないかという叔母の話をありがたく受けることにした。
和葉の決断を、母は複雑そうに聞いていたが、叔母が支えると請け負ってくれて最終的には納得した。自立心が強く行動力のある叔母を母は信頼していたからだ。
最大の問題は、遼一側への対応だった。
伝えれば、当然反対されるだろう。
もちろん生むのは和葉だから決定権はこちらにある。けれど、あの話し合いの際の容赦のないやり方から考えると穏便にいかないのは目に見えている。
賛成してほしいとか、援助を求める気持ちはないけれど、これ以上彼に幻滅し傷つきたくはなかった。橘家という社会的に影響力のある相手の意向に歯向かうのも怖かった。少なくともお腹の子が無事に生まれるまでは向こうには知られない方がいい。
同僚からの『お嬢さま』という言葉は、服装のことだけを言われていたのではないのだろう。
そんな自分が人の親になっていいのだろうか?
迷う和葉の背中に叔母は温かい手を添えた。
『私もはじめは不安もあったよ。でもね、はじめから完璧な母親なんていないんじゃないかな。子供と一緒に成長すればそれでいいと私は思う。もちろん決めるのはかずちゃんだから、私はどちらの決断も応援するけどね』
和葉の迷いなどお見通しのようだった。
そしてそれが和葉の背中を押した。和葉から見れば迷うことなどなさそうな叔母も生む前は不安だった。けれど子供と一緒に成長し、啓を立派に育てあげた。
生まれてから今まで自分を守ってくれていた温室は、跡形もなく崩れ去った。これからは外の世界で雨と風にさらされて生きていかなくてはならない。そのためには、これまでの自分の甘さを改め、成長する必要がある。
お腹の中の小さな命、生むからには絶対に幸せにしなければならないという責任がある。それが今の自分の原動力となるはずだ。
ようやく和葉の心は決まり、ハワイで出直さないかという叔母の話をありがたく受けることにした。
和葉の決断を、母は複雑そうに聞いていたが、叔母が支えると請け負ってくれて最終的には納得した。自立心が強く行動力のある叔母を母は信頼していたからだ。
最大の問題は、遼一側への対応だった。
伝えれば、当然反対されるだろう。
もちろん生むのは和葉だから決定権はこちらにある。けれど、あの話し合いの際の容赦のないやり方から考えると穏便にいかないのは目に見えている。
賛成してほしいとか、援助を求める気持ちはないけれど、これ以上彼に幻滅し傷つきたくはなかった。橘家という社会的に影響力のある相手の意向に歯向かうのも怖かった。少なくともお腹の子が無事に生まれるまでは向こうには知られない方がいい。