裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
満腹になってご機嫌の樹を椅子から下ろし食器をキッチンに運ぼうと彼に背を向けた時。
——ガンッ。
なにかがぶつかる鈍い音と同時に、樹が火がついたように泣き出した。
「いっくん! どうしたの⁉︎」
駆け寄り問いかけるが、当然答えがあるわけではなく、彼は泣くばかりである。その額から血が出ているのに気がついて、和葉の血の気が引いていく。
どうやら和室へ行こうとして引き戸の角で頭をぶつけたようだ。いつもは危なくないように樹が起きている時は開け放ってあるが、今日はバタバタしていて閉まりかかったままになっていた。
「だ、大丈夫? ここで打ったの?」
切羽詰まって大きな声になってしまい、樹がますます大きな声で泣き出した。
和葉はパニックになりながら、震える手でそばにある鞄の中からタオルを出して傷を押さえて止血しようと試みる。血を拭って傷口を見ると思った以上に深かった。
とりあえず大きな声で泣き続けていることだけは安心だが、病院に行かなくては。
テーブルの上から携帯を取ってきて画面を開くがどこに電話したらいいかわからない。
病院?
でもどこの?
帰国したばかりで樹にはまだかかりつけの病院はない。
いやそもそもこの時間ではもう閉まっているだろう。
だとしたら、救急外来?
どこに連絡すればいいかをどうやって検索すればいいのかさえわからない。
トップ画面が涙に滲んだ時、携帯がムーンムーンと振動して着信を知らせる。和葉は咄嗟に通話ボタンを押した。
『……和葉? 今いいか?』
「遼一! ど、どうしよう、い、樹が……!」
声を聞いたと同時に、助けを求めた。
『どうした?』
「い、樹の頭から血が……。私、どこに電話したらいいのかわからなくて」
樹がわんわんと泣く声は向こうにも聞こえるのだろう。
遼一が低い声で問いかけた。
『今どこだ?』
「い、家。ご飯を食べて、その後食器をキッチンに持って行ったら。ドアにぶつかって」
『わかった。すぐに救急車を呼ぶから、和葉はそこで待ってて』
「う、うん」
彼の落ち着いた声を聞いて少しだけ冷静になりつつあるのを感じた。
『鞄に保険証と財布と携帯、子供に必要なものを入れてその場にいて。俺もすぐに行くから、できるな?』
「うん、大丈夫」
今度はさっきよりもしっかり頷けた。それを確認してから、遼一との通話が切れた。
——ガンッ。
なにかがぶつかる鈍い音と同時に、樹が火がついたように泣き出した。
「いっくん! どうしたの⁉︎」
駆け寄り問いかけるが、当然答えがあるわけではなく、彼は泣くばかりである。その額から血が出ているのに気がついて、和葉の血の気が引いていく。
どうやら和室へ行こうとして引き戸の角で頭をぶつけたようだ。いつもは危なくないように樹が起きている時は開け放ってあるが、今日はバタバタしていて閉まりかかったままになっていた。
「だ、大丈夫? ここで打ったの?」
切羽詰まって大きな声になってしまい、樹がますます大きな声で泣き出した。
和葉はパニックになりながら、震える手でそばにある鞄の中からタオルを出して傷を押さえて止血しようと試みる。血を拭って傷口を見ると思った以上に深かった。
とりあえず大きな声で泣き続けていることだけは安心だが、病院に行かなくては。
テーブルの上から携帯を取ってきて画面を開くがどこに電話したらいいかわからない。
病院?
でもどこの?
帰国したばかりで樹にはまだかかりつけの病院はない。
いやそもそもこの時間ではもう閉まっているだろう。
だとしたら、救急外来?
どこに連絡すればいいかをどうやって検索すればいいのかさえわからない。
トップ画面が涙に滲んだ時、携帯がムーンムーンと振動して着信を知らせる。和葉は咄嗟に通話ボタンを押した。
『……和葉? 今いいか?』
「遼一! ど、どうしよう、い、樹が……!」
声を聞いたと同時に、助けを求めた。
『どうした?』
「い、樹の頭から血が……。私、どこに電話したらいいのかわからなくて」
樹がわんわんと泣く声は向こうにも聞こえるのだろう。
遼一が低い声で問いかけた。
『今どこだ?』
「い、家。ご飯を食べて、その後食器をキッチンに持って行ったら。ドアにぶつかって」
『わかった。すぐに救急車を呼ぶから、和葉はそこで待ってて』
「う、うん」
彼の落ち着いた声を聞いて少しだけ冷静になりつつあるのを感じた。
『鞄に保険証と財布と携帯、子供に必要なものを入れてその場にいて。俺もすぐに行くから、できるな?』
「うん、大丈夫」
今度はさっきよりもしっかり頷けた。それを確認してから、遼一との通話が切れた。