裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
樹が運び込まれた病院は大きな総合病院で、額の怪我は、打撲と四針縫う切傷で全治二週間程度と診断された。
診察室でこれから縫合するという段階で、年配の女性看護師がにっこりと和葉に笑いかけた。
「ママは外で待っててもらった方がいいかもしれない」
そして、すでに泣き止んできょとんとしている樹に声をかけた。
「ボクひとりで頑張れるよね。強いもんね」
子供の傷を縫うところを母親が見るのはつらいだろうということと、案外母親がいない方が子供は頑張れるものだという説明を受ける。樹が暴れた時は看護師が押さえつける必要があり、それを見せたくないという配慮もあるのだろう。
特に不安そうでもない樹を見て和葉は素直に頷いた。
「わかりました。じゃあ、いっくん頑張ってね。大丈夫だからね」
声をかけて診察室を出るが、樹はとくに泣きはしなかった。
「パパが待合室で待っていらっしゃるみたいだから、ママもそこで待っててください。終わったらまた呼びます」
看護師の言葉に頷いて廊下に出ると、近くの待合スペースに遼一がいた。
電話の後、彼は救急車とほぼ同時に和葉の家へ駆けつけた。持ち物を確認して救急隊員へ事情を説明し、和葉と樹が救急車に乗り込んだのを確認してから、遅れて自分の車で来たのだ。
病院まで付き添ってもらうのは気が引けたが、病院からの帰りの交通手段が限られているため、送るという彼の申し出をありがたく受けることにした。
彼の姿を見てホッと肩の力が抜き、ハッとして気を引き締める。心強いと思ってしまった自分を戒める。彼は頼っていい人ではない。
一瞬迷った末に、和葉は彼と同じ長椅子に人ひとり分のスペースを空けて座る。午後八時を回った院内は外来の患者はおらず、少し先のナースステーションに数人の人がいるだけである。その先の廊下の電気は消えていた。
「どうだった?」
「四針縫うみたい。でも二週間くらいで治るって」
「精密検査はしなくていいのか?」
「あのくらいの子に脳の精密検査をするなら、全身麻酔になっちゃうんだって。それはそれでリスクがあるから、まずは様子見だって。意識もあるし、それほど心配はなさそうって言われた」
診察室でこれから縫合するという段階で、年配の女性看護師がにっこりと和葉に笑いかけた。
「ママは外で待っててもらった方がいいかもしれない」
そして、すでに泣き止んできょとんとしている樹に声をかけた。
「ボクひとりで頑張れるよね。強いもんね」
子供の傷を縫うところを母親が見るのはつらいだろうということと、案外母親がいない方が子供は頑張れるものだという説明を受ける。樹が暴れた時は看護師が押さえつける必要があり、それを見せたくないという配慮もあるのだろう。
特に不安そうでもない樹を見て和葉は素直に頷いた。
「わかりました。じゃあ、いっくん頑張ってね。大丈夫だからね」
声をかけて診察室を出るが、樹はとくに泣きはしなかった。
「パパが待合室で待っていらっしゃるみたいだから、ママもそこで待っててください。終わったらまた呼びます」
看護師の言葉に頷いて廊下に出ると、近くの待合スペースに遼一がいた。
電話の後、彼は救急車とほぼ同時に和葉の家へ駆けつけた。持ち物を確認して救急隊員へ事情を説明し、和葉と樹が救急車に乗り込んだのを確認してから、遅れて自分の車で来たのだ。
病院まで付き添ってもらうのは気が引けたが、病院からの帰りの交通手段が限られているため、送るという彼の申し出をありがたく受けることにした。
彼の姿を見てホッと肩の力が抜き、ハッとして気を引き締める。心強いと思ってしまった自分を戒める。彼は頼っていい人ではない。
一瞬迷った末に、和葉は彼と同じ長椅子に人ひとり分のスペースを空けて座る。午後八時を回った院内は外来の患者はおらず、少し先のナースステーションに数人の人がいるだけである。その先の廊下の電気は消えていた。
「どうだった?」
「四針縫うみたい。でも二週間くらいで治るって」
「精密検査はしなくていいのか?」
「あのくらいの子に脳の精密検査をするなら、全身麻酔になっちゃうんだって。それはそれでリスクがあるから、まずは様子見だって。意識もあるし、それほど心配はなさそうって言われた」