裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
樹の怪我の具合について詳しく聞きたがる彼に和葉は外科医から受けた内容を説明する。
遼一が息を吐いた。
「そう、ならよかった……」
心底安堵したようなその様子に、和葉は驚き、さっきの看護師の言葉を思い出していた。
彼はもう樹を自分の子だと確信しているのだろうか?
だとしても意外だった。確かに血は繋がっているが、彼にとってはそれだけで愛情などは感じていないはずなのに。
それはさておき、まずは心から礼を言う。
「ありがとうございました。今日は本当に助かりました」
彼に対するわだかまりはあるもの助かったのは事実だ。あのタイミングで彼が電話をかけてくれなかったから、どうなっていたかわからない。
「来てくれてよかったです」
「いや、病院がすんなり決まってよかったな」
遼一が答えた時、診察室の方で泣き声があがる。樹の縫合がはじまったのだろう。
和葉は診察室の扉を見つめて膝の上に置いた手をギュッと握りしめた。
縫合には麻酔を使うから痛みは感じないはずだが、その麻酔自体が注射だ。そもそも押さえられて額を縫うなんて怖いに違いない。
かわいそうなことをした、そう思うと、じわっと視界が涙で滲んだ。
それもこれもすべて、彼から目を離してその場を離れた自分のせいだ。ドアを中途半端に開けていたのもよくなかった。疲れていたなんて言い訳にもならない。
今までの樹は風邪を引くくらいで、大きな病気や怪我もなかった。だから病院に来ること自体がほとんどないのに。怖い思いをさせてしまったのが申し訳なくてつらかった。
「ちょっと目を離した隙にぶつけてしまって……。私がちゃんと見てなかったから。き、傷が残っちゃうかも……」
遼一の視線を感じながら聞かれてもいないのに、和葉は涙の訳を口にする。
帰国してからずっと張っていた糸がふつりと切れてしまったように涙が溢れて止まらない。
こんなこと、彼に言っても困らせるだけ、迷惑だと思われているのはわかっていても止められなかった。
「保育園も住むところも変わっても樹は頑張ってくれてたのに……なのに、私、ほんと、ダメな母親……」
「ダメなんでことはないだろう」
なにかを求めて発したものではなく、ひとり言のようにただ口から出ただけの言葉。それに突然返事が返ってきて、和葉は驚き口を閉じる。
声の主の遼一を、涙に濡れる目で見た。
「慣れない環境で働きながら、ひとりで子供を育てているだけで立派だ。ダメな母親なんかじゃない。あのくらいの子なら動き回るだろうし、絶対に目を離さないなんて無理だろう。そんな風に自分を責めるな」
返事が返ってきただけでも驚きなのに思いがけない優しい内容に啞然として涙が止まる。瞬きを繰り返して彼を見つめる。
「男の子なんだから傷のひとつやふたつ……いや男か女かは関係ないか。でも前髪で隠れる位置だろうし、跡が残ったとしてもそれほど気にならないよ。それに傷なら俺にもある」
遼一が息を吐いた。
「そう、ならよかった……」
心底安堵したようなその様子に、和葉は驚き、さっきの看護師の言葉を思い出していた。
彼はもう樹を自分の子だと確信しているのだろうか?
だとしても意外だった。確かに血は繋がっているが、彼にとってはそれだけで愛情などは感じていないはずなのに。
それはさておき、まずは心から礼を言う。
「ありがとうございました。今日は本当に助かりました」
彼に対するわだかまりはあるもの助かったのは事実だ。あのタイミングで彼が電話をかけてくれなかったから、どうなっていたかわからない。
「来てくれてよかったです」
「いや、病院がすんなり決まってよかったな」
遼一が答えた時、診察室の方で泣き声があがる。樹の縫合がはじまったのだろう。
和葉は診察室の扉を見つめて膝の上に置いた手をギュッと握りしめた。
縫合には麻酔を使うから痛みは感じないはずだが、その麻酔自体が注射だ。そもそも押さえられて額を縫うなんて怖いに違いない。
かわいそうなことをした、そう思うと、じわっと視界が涙で滲んだ。
それもこれもすべて、彼から目を離してその場を離れた自分のせいだ。ドアを中途半端に開けていたのもよくなかった。疲れていたなんて言い訳にもならない。
今までの樹は風邪を引くくらいで、大きな病気や怪我もなかった。だから病院に来ること自体がほとんどないのに。怖い思いをさせてしまったのが申し訳なくてつらかった。
「ちょっと目を離した隙にぶつけてしまって……。私がちゃんと見てなかったから。き、傷が残っちゃうかも……」
遼一の視線を感じながら聞かれてもいないのに、和葉は涙の訳を口にする。
帰国してからずっと張っていた糸がふつりと切れてしまったように涙が溢れて止まらない。
こんなこと、彼に言っても困らせるだけ、迷惑だと思われているのはわかっていても止められなかった。
「保育園も住むところも変わっても樹は頑張ってくれてたのに……なのに、私、ほんと、ダメな母親……」
「ダメなんでことはないだろう」
なにかを求めて発したものではなく、ひとり言のようにただ口から出ただけの言葉。それに突然返事が返ってきて、和葉は驚き口を閉じる。
声の主の遼一を、涙に濡れる目で見た。
「慣れない環境で働きながら、ひとりで子供を育てているだけで立派だ。ダメな母親なんかじゃない。あのくらいの子なら動き回るだろうし、絶対に目を離さないなんて無理だろう。そんな風に自分を責めるな」
返事が返ってきただけでも驚きなのに思いがけない優しい内容に啞然として涙が止まる。瞬きを繰り返して彼を見つめる。
「男の子なんだから傷のひとつやふたつ……いや男か女かは関係ないか。でも前髪で隠れる位置だろうし、跡が残ったとしてもそれほど気にならないよ。それに傷なら俺にもある」