裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
入国手続きを済ませ、樹を抱いて到着ロビーの自動ドアを出ると、そこは行き交う人や到着客を待つ人でごった返していた。
空港という場所特有のどこか浮き足だったざわざわという喧騒が懐かしい。二年前ここで働いていた頃は、毎日目にしていた光景だ。
スーツケースを引き人の流れを避けながらあたりを見回すと、日に焼けた短髪の男性が駆け寄ってきた。
「かずちゃん! お疲れ」
「啓くん! お迎えありがとう」
吉原啓、和葉の従兄弟だ。
彼は和葉より一カ月前に来日していて、スタッフの採用や仕入れ先の確保などの準備を進めている。彼が借りているマンションの別の部屋に和葉も引っ越すことになっていて、今日はそこに送ってもらう予定になっていた。
和葉の実家も都内にあるが、空港からは距離があって通勤するのには不便だし、両親に負担がかかるので小さな樹をつれて帰るわけにはいかない。
「久しぶり〜! 樹、元気してたかぁ? 啓だよ〜! 忘れちゃってないよな?」
両親ともに日本人だが、ハワイ在住らしい啓の少しオーバーなリアクションに通りすがりの人が振り返りチラリと彼を見た。
生まれた時から一緒に暮らしていて我が子のように可愛がってくれている啓を樹が忘れるはずもなく、嬉しそうににんまりと笑って手を伸ばした。
「お、飛行機のおもちゃ買ってもらったの? いいじゃん! カッコいい〜!」
啓の方も慣れたもので、和葉の腕から彼を抱きとった。樹は嬉しそうに足をバタバタさせている。
ありがたいな、といつも思う。
『子育てなんて、周りに頼れるだけ頼りながらするものよ』
叔母はいつもそう言っていて、その言葉通りふたりは樹を自分の子供のように可愛がってくれている。日本で産んでいたらこんなに穏やかな気持ちで、育てられなかっただろう。
「えいえい!」
樹が嬉しそうに啓の頬を触っている。『啓』と呼んでいるつもりなのだ。
「ご機嫌じゃん! 耳痛くならなかったんだ。よかったね」
「うん、なんか平気だったみたい。窓の外を夢中で見てるうちに離陸して着陸もそんな感じ。窓際の席になってよかったよ」
「ラッキーだったね」
そんな話をしていると、さっき機内で話をした親子が通りかかった。
空港という場所特有のどこか浮き足だったざわざわという喧騒が懐かしい。二年前ここで働いていた頃は、毎日目にしていた光景だ。
スーツケースを引き人の流れを避けながらあたりを見回すと、日に焼けた短髪の男性が駆け寄ってきた。
「かずちゃん! お疲れ」
「啓くん! お迎えありがとう」
吉原啓、和葉の従兄弟だ。
彼は和葉より一カ月前に来日していて、スタッフの採用や仕入れ先の確保などの準備を進めている。彼が借りているマンションの別の部屋に和葉も引っ越すことになっていて、今日はそこに送ってもらう予定になっていた。
和葉の実家も都内にあるが、空港からは距離があって通勤するのには不便だし、両親に負担がかかるので小さな樹をつれて帰るわけにはいかない。
「久しぶり〜! 樹、元気してたかぁ? 啓だよ〜! 忘れちゃってないよな?」
両親ともに日本人だが、ハワイ在住らしい啓の少しオーバーなリアクションに通りすがりの人が振り返りチラリと彼を見た。
生まれた時から一緒に暮らしていて我が子のように可愛がってくれている啓を樹が忘れるはずもなく、嬉しそうににんまりと笑って手を伸ばした。
「お、飛行機のおもちゃ買ってもらったの? いいじゃん! カッコいい〜!」
啓の方も慣れたもので、和葉の腕から彼を抱きとった。樹は嬉しそうに足をバタバタさせている。
ありがたいな、といつも思う。
『子育てなんて、周りに頼れるだけ頼りながらするものよ』
叔母はいつもそう言っていて、その言葉通りふたりは樹を自分の子供のように可愛がってくれている。日本で産んでいたらこんなに穏やかな気持ちで、育てられなかっただろう。
「えいえい!」
樹が嬉しそうに啓の頬を触っている。『啓』と呼んでいるつもりなのだ。
「ご機嫌じゃん! 耳痛くならなかったんだ。よかったね」
「うん、なんか平気だったみたい。窓の外を夢中で見てるうちに離陸して着陸もそんな感じ。窓際の席になってよかったよ」
「ラッキーだったね」
そんな話をしていると、さっき機内で話をした親子が通りかかった。