裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
なるほど現場を総括する責任として、遼一は職員の労働環境の改善に積極的に取り組んでいた。だからこそ、保育園の件をすぐに思いついたのだ。
「大丈夫です。もう過去のことですから」
本音を伏せて、和葉が即座に答えると、歩美が安心したように微笑んだ。
「だよね、もう二年も前のことだもんね。あ、ねぇ。じゃあ彼がフードコートに行くの止めなくていい? ちょっと気になってたんだよね」
遼一がコーヒーショップに来ることについて、まだ心配してくれていたようだ。
和葉が答えるより早く麻衣子が反応した。
「え? コーヒーショップ? どういうこと?」
「橘さんが好きでよく飲んでるコーヒーショップが和葉の店の隣なの。で、今も時々通ってるみたいだから」
「え? そうなんだ……」
「普通、元カノがいるところになんて行かなくない? 無神経すぎ。私だったら別れた男の顔なんか見たくないけど」
憤る歩美の言葉に、和葉の胸がチクッと痛んだ。
「あーまーそれはそうですね……」
麻衣子が気まずそうに和葉を見た。
「和葉? 私から止めるように言おうか?」
心配そうに尋ねられて、和葉は慌てて首を横に振った。
「全然大丈夫ですよ。っていうか来られてるのも気がついていませんでしたし」
嘘をつくのは心苦しいけれど、和葉はそもそも気がついていないという設定を継続することにした。
会社に連絡してくるなと遼一から釘を刺されているから、というのもあるが、和葉自身彼と自分が繋がっているの隠したいと思っている。どこから話が漏れてどう言われるかわからない。万が一にでも樹が不利益を被らないようにしておきたい。
「まぁ、和葉が気にならないならいいかー。あそこのコーヒーが美味しいのは事実だし」
「えー、どこのコーヒーですか?」
コーヒーショップについて話すふたりを見つめながら、大っぴらに言えない境遇にしてしまった樹に対して申し訳なく思った。
出産を決意した時は、遼一とはもう会わないと思っていたから、こんな風に悩むなんて思いもしなかった。
その後、ふたりとは一緒に働いていた頃の思い出話をしていると、あっという間に六時になる。これから飲みに行くというふたりに手を振って、和葉は速足で駅へ向かった。
「大丈夫です。もう過去のことですから」
本音を伏せて、和葉が即座に答えると、歩美が安心したように微笑んだ。
「だよね、もう二年も前のことだもんね。あ、ねぇ。じゃあ彼がフードコートに行くの止めなくていい? ちょっと気になってたんだよね」
遼一がコーヒーショップに来ることについて、まだ心配してくれていたようだ。
和葉が答えるより早く麻衣子が反応した。
「え? コーヒーショップ? どういうこと?」
「橘さんが好きでよく飲んでるコーヒーショップが和葉の店の隣なの。で、今も時々通ってるみたいだから」
「え? そうなんだ……」
「普通、元カノがいるところになんて行かなくない? 無神経すぎ。私だったら別れた男の顔なんか見たくないけど」
憤る歩美の言葉に、和葉の胸がチクッと痛んだ。
「あーまーそれはそうですね……」
麻衣子が気まずそうに和葉を見た。
「和葉? 私から止めるように言おうか?」
心配そうに尋ねられて、和葉は慌てて首を横に振った。
「全然大丈夫ですよ。っていうか来られてるのも気がついていませんでしたし」
嘘をつくのは心苦しいけれど、和葉はそもそも気がついていないという設定を継続することにした。
会社に連絡してくるなと遼一から釘を刺されているから、というのもあるが、和葉自身彼と自分が繋がっているの隠したいと思っている。どこから話が漏れてどう言われるかわからない。万が一にでも樹が不利益を被らないようにしておきたい。
「まぁ、和葉が気にならないならいいかー。あそこのコーヒーが美味しいのは事実だし」
「えー、どこのコーヒーですか?」
コーヒーショップについて話すふたりを見つめながら、大っぴらに言えない境遇にしてしまった樹に対して申し訳なく思った。
出産を決意した時は、遼一とはもう会わないと思っていたから、こんな風に悩むなんて思いもしなかった。
その後、ふたりとは一緒に働いていた頃の思い出話をしていると、あっという間に六時になる。これから飲みに行くというふたりに手を振って、和葉は速足で駅へ向かった。