裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
 通りを走る車の音と子供たちがはしゃぐ声が、開け放った窓の外から聞こえてくる。秋の風がカーテンを揺らす昼下がりの和室に敷いた布団の上、大の字になって眠る樹と、その隣畳にはみ出す形で横になっているのは遼一だ。彼も樹と同じように、気持ちよさそうに寝息を立てている。
 今日はお互い休日で、彼は午前中にここへ来た。
 樹とたっぷり空港遊びをした後、三人で昼食を取った。その後、樹に昼寝をさせると言ってふたりで和室へこもった。いつまでたっても出てこないので様子を見に来たら、この状況だ。樹を寝かしつけているうちに一緒に寝てしまったのだろう。
 遼一が和葉のマンションへ来るようになって一カ月が過ぎた。その間に彼がここを訪れたのは今日を入れて四回。
 平日の夕方にここへ来て和葉が夕食の準備をする間、樹との時間を過ごしている。しかもただ遊ぶだけではなくて、ついでに洗濯物を畳み保育園の準備をしたりと、簡単な家事もしてくれる。手助けのつもりだというのは本気のようだった。
 樹の世話はもはや慣れたもので、おむつ代えでもお風呂でもなんでもやれるようになった。当然樹の信頼もがっちりと勝ち得ていて、樹は彼が来るとべったりである。
 和葉としても安心して樹を任せられる彼がいると少しゆったりとした気持ちで過ごせるのでありがたかった。
 今日昼間から会っているのは、たまたまお互いの休日が合ったからだ。それなら昼前に行ってもいいかと尋ねられて深く考えずに了承した。ほかでもない、樹が喜ぶからだ。
 ——でもやめた方がよかったかな。
 そんなことを考えながら、和葉はふたりを起こさないように窓を閉めて、押し入れから薄い掛け布団を出して遼一にそっとかけた。樹にはしっかりと子供用の布団がかかっているが、遼一は布団をかぶっていない。少し気温が下がってきたから、このままでは風邪をひいてしまいかねない。
 傍らに座り、しばらくふたりの寝顔を見つめる。
 疲れているのだろうと思う。
 だったら、無理に来なくていいのに、と心の中で呟いた。
 以前のように会いたくないからではなく、ただ彼の体調が心配だった。
 パイロット勤務と取締役としての本社勤務もしているなら、忙しいなんてものではないはずだ。平日の夜だけでも都合をつけるのは大変なはずなのに、彼はここへやってくる。そして家事と育児を手伝うのだ。
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