裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
和葉としても趣味を共有したいというよりは、自分の話を彼に聞いてもらいたいだけだったから、いつも自由に話した。
まるであの頃のように優しい眼差しで言葉を待つ彼に、和葉は不思議な気持ちになる。
遼一は和葉の考えていることがわかると言うけれど、和葉には彼が何を思っているのかさっぱりわからなかった。
「和葉? どうかした?」
黙り込んだ和葉に、遼一が首を傾げる。
和葉は首を横に振った。
「もう、お話することはなくなりました」
いろいろ考えて仕事の話が頭から飛んでしまってそう言うと、遼一がふはっと笑った。
「なんだよ、それ」
「だって……」
目を伏せると、大きな手が伸びてきて和葉の頭をくしゃっと撫でた。
「頑張ってるなと思ってるよ。正直言って和葉がここまでやるとは思わなかった」
よくがんばりましたと言うかのように大きな手が頭をポンポンとする。大好きだった彼の手の温もりに、胸が強い力でぎゅーっと掴まれたように痛くなって、泣いてしまいそうになる。
頑張るしかなかったのだ。
なにもかもを失ったから。
そしてそれは彼からの仕打ちがはじまりだ。
それなのに、今この瞬間にすべてが報われたように感じているのだから、救いようがないと思う。
彼の何気ないひと言で、こんな気持ちにさせられる……。
——きっともう彼に落ちている。
自覚したと同時に、ポロリと涙が流れ落ちた。
遼一の手が頬に触れて、親指がそれをそっと拭う。その仕草と眼差しを見つめ返し、和葉は少し混乱する。
なぜ彼は、そんな目で自分を見るのだろう?
どうしてそんな風に自分に触れるのだろう?
ほしかった言葉をくれるのだろう?
もちろんそれを聞けるはずもなく、ただ涙を堪えて唇を噛んだ。
自分を見つめる彼の瞳に、愛しむような色が浮かんでいるように感じるのは、ただの思い過ごし、いや和葉の願望に過ぎない。
けれどその色は和葉のなにかを熱くさせ、心に火をつける。
この目に、この視線に、この声に、あの頃の和葉は恋焦がれた。そしてこの手に触れられて、愛されていると信じたのだ。
だとしたら、また彼は偽りの愛で自分を翻弄するつもりなのだろうか?
だけどいったい何のために?
遼一の手がゆっくりと頭から移動して和葉の手からマグカップを取り上げセンターテーブルに置いた。
まるであの頃のように優しい眼差しで言葉を待つ彼に、和葉は不思議な気持ちになる。
遼一は和葉の考えていることがわかると言うけれど、和葉には彼が何を思っているのかさっぱりわからなかった。
「和葉? どうかした?」
黙り込んだ和葉に、遼一が首を傾げる。
和葉は首を横に振った。
「もう、お話することはなくなりました」
いろいろ考えて仕事の話が頭から飛んでしまってそう言うと、遼一がふはっと笑った。
「なんだよ、それ」
「だって……」
目を伏せると、大きな手が伸びてきて和葉の頭をくしゃっと撫でた。
「頑張ってるなと思ってるよ。正直言って和葉がここまでやるとは思わなかった」
よくがんばりましたと言うかのように大きな手が頭をポンポンとする。大好きだった彼の手の温もりに、胸が強い力でぎゅーっと掴まれたように痛くなって、泣いてしまいそうになる。
頑張るしかなかったのだ。
なにもかもを失ったから。
そしてそれは彼からの仕打ちがはじまりだ。
それなのに、今この瞬間にすべてが報われたように感じているのだから、救いようがないと思う。
彼の何気ないひと言で、こんな気持ちにさせられる……。
——きっともう彼に落ちている。
自覚したと同時に、ポロリと涙が流れ落ちた。
遼一の手が頬に触れて、親指がそれをそっと拭う。その仕草と眼差しを見つめ返し、和葉は少し混乱する。
なぜ彼は、そんな目で自分を見るのだろう?
どうしてそんな風に自分に触れるのだろう?
ほしかった言葉をくれるのだろう?
もちろんそれを聞けるはずもなく、ただ涙を堪えて唇を噛んだ。
自分を見つめる彼の瞳に、愛しむような色が浮かんでいるように感じるのは、ただの思い過ごし、いや和葉の願望に過ぎない。
けれどその色は和葉のなにかを熱くさせ、心に火をつける。
この目に、この視線に、この声に、あの頃の和葉は恋焦がれた。そしてこの手に触れられて、愛されていると信じたのだ。
だとしたら、また彼は偽りの愛で自分を翻弄するつもりなのだろうか?
だけどいったい何のために?
遼一の手がゆっくりと頭から移動して和葉の手からマグカップを取り上げセンターテーブルに置いた。