(番外編集)それは麻薬のような愛だった
「伊澄、一緒に帰ろう?」
その日の放課後、いつもの顔ぶれで伊澄の周りに集まっていた面々の前で私は堂々と声をかけた。
すると全く驚く様子もなく、はいはいまたですかみたいな空気で男子達は伊澄に声をかけた。
「天城、彼女ちゃんがお呼びだぞ」
「またお前女変えたの?相変わらず派手にやってんな」
男達の言葉に無意識に眉が寄る。彼女を前にして無神経すぎる。けれど当の本人である伊澄も、それらに「うるせえわ」と短く返すだけで否定はしてくれなかった。
「羨ましいねえ、女が途切れ知らずで。今度は学年一の美少女ですか」
一応は一緒に帰るであろう意思を見せ、鞄を持って立ち上がる伊澄に向かってにやにやとそんな声がかけられる。
「羨ましい」「学年一の美少女」
その言葉に少しばかり私の機嫌はマシになったのだが、それを落とされるのも一瞬だった。
「今度はどれくらい続くか賭けようぜ」
男子連中の中でそんな言葉がかけられ、どっと笑いが上がる。一体何が面白いのか、全く分からなかった。
「余計なお世話だ」
伊澄も伊澄で、それについて怒ることなくいつもの不機嫌顔で返す。
モヤモヤとしたものを抱きつつも、先を歩く伊澄の後を追いかけた。