(番外編集)それは麻薬のような愛だった
そんな折、体育祭を前にした体育の授業で私は伊澄のクラスと合同で授業を行った。
季節は残暑の厳しい9月。日焼けを避けたい私は友人達と木陰で休憩していたのだが、同じように涼みに来たクラスの男子が寄ってきた。
「あっち~!こんなクソ暑い中体育とかマジで萎えるわ」
「てかお前らなにサボってんだよ~」
愚痴を吐きながら木陰に入ってきた男子たちのうちの一人がそういい、友人が呆れながら答えた。
「そんなわけないじゃん。今パートごとに練習してるから順番待ちなのよ」
「あー、なるほど。女子は応援ダンスの練習か」
学校の伝統で2年生は男女に分かれて芸を披露する。女子はダンス、男子は応援合戦。
ダンス部の私は基本指導側だが、パートが別なので今は休憩に回っていた。
「なあ、あの子さ…」
現在練習中の女子たちを眺めていた男子うちの一人が、不意にそう声を漏らした。
「杜川さん、だっけ。あの黒髪ストレートの。…あの子結構着やせするんだな」
「ん?誰?てかなんだよ突然」
「いや、すげえスタイルいいなって思って」
言うや否や数名が同じように運動場の方へ目を向ける。そして口々に「あー」とか「なるほど」と言った。
「確かに。胸でかい割に足腰細いな」
「顔も結構可愛いめだし。あんな子あっちのクラスにいたんだな」
胸だの腰だの、女子を前にしてデリカシーの欠片もない会話をする男子たちに友人は「さいてー」と睨んでいた。