(番外編集)それは麻薬のような愛だった
——けど、さ…
そういうのって、彼氏の方から否定してくれるものじゃないの。今までがどうであっても、今付き合ってるのは私なんだって。
私は、伊澄の口からそれを言って欲しかった。
ふと見上げると、伊澄は全く別の場所に目を向けていた。
——え…?
伊澄の視線の先は運動場。今現在練習をしている女子に向いていた。
そしてそのときの伊澄の顔は、初めて見る表情をしていた。
いつもの鋭さが少し和らいだような…ほんの少し、笑っているような、そんな顔。
——誰を見てるの…?
視線の先が誰であろうとどうでもいい。今目の前にいる伊澄が私を見ていないことが、辛かった。
私を見てよ、伊澄。
他の女なんか見ないでよ。
「…っ」
静かに、ゆっくりと。
私の寂しさはそうして静かに積もっていった。