(番外編集)それは麻薬のような愛だった
その時の伊澄の顔が忘れられないまま、また1ヶ月が経った。
私はずっとそれを見て見ぬふりをしたまま過ごしていた。けれど寂しさと虚しさは積もっていくばかり。
それでも伊澄の彼女であるという立場だけが、私の微かな矜持を保てていた。
そんなことが続いたある日。
その日は、ひどい大雨だった。
授業中に警報が発令し、私たち生徒は授業を切り上げて家に帰されることになった。
バス通学の私は、バスの到着する時間ギリギリまで学校に残っていた。
友人たちは親が迎えに来たり、電車が止まる前にと早々に帰宅していった。
止まない大雨を見つめながら、私は人の少なくなった校舎内で時間が過ぎるのを待っていた。
私の自宅は学校から離れた田舎で、ここからの直通便は1時間に1本しかない。普段は学校で友達と喋ったり本屋やカフェで時間をつぶすけれど今日はそうもいかない。
仕方なしにクラスに残させてもらい、それから戸締りをして1階へ下りると屋根のあるギリギリのところに伊澄の姿があった。
誰かと話しているらしい。けれど相手は既に傘をさしていて顔が見えない。
けれどその女子の声だけは、はっきりと聞こえた。