(番外編集)それは麻薬のような愛だった
紬が生まれて以降、こうして何度も唇は重ねてきた。その度に初々しい反応をする雫は両思いだから余計に恥ずかしいのだと言う。
これまでが最低だったということもあり、伊澄自身もなかなかそれ以上は進められなかった。
雫の気持ちを尊重したい。けれどもっと触れたい。そんなせめぎ合いの中、ずっと葛藤を続けていた。
「っは、…いっちゃ、ん…すき…」
だがそんな理性も、雫の言葉であっさりと瓦解する。
想いを紡ぐ声色は蜂蜜のように甘く、伊澄の心にまとわりつく。気付いた時にはソファに背中から押し倒していた。
クッションに背を預け伊澄のキスに応えながら服を握ってくる雫の手に抵抗の気配は無い。それに我慢ならなくなった伊澄はシャツの中に手を入れ柔肌に直接触れた。
「…っ、ふ、ぅ…ッ」
鼻から抜ける声にじわじわと抑えられない欲が湧き上がる。下着の下から入り込んで触れた胸は少し張っていて、雫が母になった証明だった。
このまま進めていっていいのだろうか。しかし理性の壊れた伊澄の意思ではもう止められない。
伊澄の舌が鎖骨に落ち、ブラをずらし露わになった胸を手で覆い幾度となく胸元にキスを落としていると、雫の弱々しい声が耳に届いた。
「いっちゃ…待っ、ぁ…っ、」
「…嫌か」
「ち、ちが…っ、つ、つーちゃんが、起きちゃう…かもって、」
「……」
それはそうだ。雫が紬を一番気にするのは当たり前。それでも今は紬の声は聞こえない。
ならば今だけは、自分を見て欲しかった。
「…ごめん、もう少し…」
「…へ、」
「触るだけでいいから…少しでいい。このままでいさせてくれ」