(番外編集)それは麻薬のような愛だった
「颯人くんは今からお昼?一人?」
「あ、いや、友達と。雫ちゃんの姿が見えたから挨拶をと思って」
「そうなんだ。わざわざ声かけてくれてありがとう」
そう言うと、雫はぐるりと食堂内見渡した。
「昼時だから混んでるね。席は大丈夫?良ければ私達の場所譲ろうか?」
「えっ?いや、大丈夫だよ。まだ食ってるだろ?」
「もう食べ終わるからいいよ。プリンは飲み物だから」
「いやそれは…」
言うや否や雫はプリンを掬い、ぱくぱくと食べ進めていく。その早さたるや、垣間見える豪快な一面に颯人は少しだけ拍子抜けした。
「ごちそうさまでした」
育ちの良さを体現するように手を合わせて食後の挨拶をした雫は、トレイを持って立ち上がる。
そして既に食べ終えていた隣の友人に声をかけると、颯人に「どうぞ」と席を譲った。
「じゃあまた、サークルでね」
そう言い、隣を通り過ぎるときに仄かに香った香りにドキリと胸が鳴った。
彼女のシャンプーの匂いか、はたまた柔軟剤の香りか。清潔感のある甘くも柔らかな香りに、颯人は頬に熱が集まるのを感じた。