(番外編集)それは麻薬のような愛だった


——…なんて、いい加減どうかしてるわ。キモすぎんだろ


だが恐ろしいことに、半分は本気だ。

初めて抱いた劣情を、嫉妬を…恋心を。どうにか出来る方法など知る由もない。

柔らかな膨らみを包んでいた手をずらし中心の頂に触れれば漏れる甘い声。小さく身じろいだ雫が膝を折り、それが軽く伊澄の脚に当たった。


「っ…」

「!ごめっ…痛かった?」

「いや、違う…」


言えない。言えるわけがない。脚に少し肌が当たった程度で反応してしまったなどと。

触れるだけで良いと言っておいての体たらく。

気まずそうに視線を落とす伊澄に、何かに気付いたように雫が目線を下へ向ける。そして「あ…」と小さな声を上げたことでいよいよ羞恥で堪らなくなった。


「…、悪い…」


謝りながら雫の胸から手を離し起き上がる。小うるさい母親の顔を浮かべてどうにか下肢に集まる熱を引かそうとしたが、なかなか落ち着いてはくれない。

顔に手を添えつつ素数やら六法全書の中身やらを頭の中で並べていると、雫がおずおず服の裾を引いてきた。


「い、いっちゃん、あの、」

「…雫…?」


何かを言いたそうに、けれど真っ赤になりながら言い淀む雫の表情に邪な期待を抱く。

自惚れるなと何度も自分を叱責した。けれど高鳴る鼓動だけは、どうしようもできなかった。


「…や、やめ、なくて…いい、よ…」


幻聴かと思うほどに弱々しく震えた声で、雫はそう言った。


「…本気か?」


間もなく伊澄の返した問いかけに、瞳にたっぷりと涙を溜めた雫が顔をゆっくりと縦に振る。

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