(番外編集)それは麻薬のような愛だった

幼い頃から同じものに執着するような幼児だった紬の性格はそれほど変わらず、ある程度成長し彼女の念願だった犬を迎え入れると決めた時も犬種からその個体、名前に至るまで何もかも譲らなかった。

小さな頃からお人形遊びの好きだったところがこうして成長に繋がっていったのかなと、雫は懐かしい気持ちにかられた。


「そんなに大事に思ってもらえて、あの子もきっと幸せね」


ブリーダーの言葉に雫は伊澄に顔を向けて笑う。再び紬に視線を戻すと、まだ何かを話しかけていた。

それを横目に譲渡書類や注意事項の確認、そして最後に贈り物を受け取り犬舎を後にすることになった。


ブリーダーから教えを受けながらいちごを抱いていた紬は、少しだけ名残惜しそうにキャリーへ入れた。


「お家までがんばろうね」


そう声をかけ自身のジュニアシートに紬が乗るのを確認し、雫も今度は後部座席へ乗り込んだ。


「ありがとうございました」


最後にブリーダーへもう一度お礼と挨拶を伝え、伊澄の運転で犬舎を後にした。


愛する愛娘の誕生日、そして、新しい家族を迎えた新しい生活が始まった日であった。

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