(番外編集)それは麻薬のような愛だった
しかし、だからといって大して異性との交際経験も多くない颯人に積極的にアプローチをかけられる訳がなく、慎重に距離を縮めていくしかできなかった。
サークルの活動で顔を合わせれば声をかけ、帰宅の際には家に送り届けるなど、簡単な事から始めた。
時にはサークルの仲間に協力してもらって飲み会——といっても未成年なので酒は無しだが、一緒に食事をしたり。
淡く抱いていた気持ちが恋情へと進化し、次第に雫からの線引きが解かれていったのを感じたのは2年に進級した時。
玉砕覚悟でした告白は、思いの外了承を得られた。
「えっ、いいの?」
よろしくお願いしますと返された颯人の第一声はそんな言葉で、雫はきょとんとしていた。
「あ…もしかして、付き合うって、どこかの場所に一緒に来て欲しいって意味だった…?」
「!ち、違う違う!恋人って意味!合ってるから!」
「そっか…良かった」
雫はそう言って胸元に手を当てながら笑った。
「私、告白されたのも男の人とお付き合いするのも初めてだから…そういうのよく分からなくて」
「…そ、そうなんだ…」
颯人は咄嗟に、雫の放った「初めて」という言葉に違和感を感じた。