【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
「でも、私も子どもたちが……」
 シアの声はさらに弱弱しくなる。
 気になるのは養護院の子どもたちだ。ただでさえいつもと異なる街の雰囲気、そして王太子による授業見学。子どもたちにこれ以上負担をかけたくない。
「シア。君が思っているほど、あの子たちは弱くないよ。事情を話せば理解してくれる。むしろ、王太子の視察に通訳として同行するシアを誇りに思うんじゃないかな?」
 ボブの言葉は優しく、しかし確信に満ちていた。シアの心は揺れる。
「でも……」
 先ほどから「でも」しか言葉が出てこない。自分の声が情けなく聞こえる。
「もう。じれったいわねぇ? こう言えばいいんでしょ? 王太子の視察に同行すること。これは、会長命令よ」
「おいおい、コリンナ」
 会長命令と勝手に口にしたコリンナを、ボブは呆れたように見つめていた。
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