【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
4.
モンクトン商会の屋敷からシアの住むアパートメントまでは、歩いて十分もかからない。傾きかけた太陽が長い影を落とす。
ヘリオスはシアの腕の中でうとうととしており、眠くて不機嫌だったのではと思えてしまうほど。
「眠っているようですね。かわりましょうか?」
フランクがヘリオスの顔をのぞき込む。
「すぐそこですから、大丈夫です」
歩くたびにずり下がってくるヘリオスを抱き直し、シアは答えた。
「子どもの寝顔っていいですよね。見ているだけで心が和みます」
フランクの言葉に、シアも同意する。
「私も、この顔に何度騙されたか、わかりません。子どもって悪魔のような天使ですよね。大人を振り回すだけ振り回して、最後はニコッと笑ってごめんなさいなんて言われたら、許すしかありませんよ」
「わかります。シェリーお嬢様は、その辺の使い方上手ですよ。僕たちも、コロッとやられてしまいますから」
シェリーの愛嬌は両親譲りだろう。ボブにも似ているし、コリンナにも似ている。
そう考えると、シアはふと虚しくなるのだ。
ヘリオスはシアの腕の中でうとうととしており、眠くて不機嫌だったのではと思えてしまうほど。
「眠っているようですね。かわりましょうか?」
フランクがヘリオスの顔をのぞき込む。
「すぐそこですから、大丈夫です」
歩くたびにずり下がってくるヘリオスを抱き直し、シアは答えた。
「子どもの寝顔っていいですよね。見ているだけで心が和みます」
フランクの言葉に、シアも同意する。
「私も、この顔に何度騙されたか、わかりません。子どもって悪魔のような天使ですよね。大人を振り回すだけ振り回して、最後はニコッと笑ってごめんなさいなんて言われたら、許すしかありませんよ」
「わかります。シェリーお嬢様は、その辺の使い方上手ですよ。僕たちも、コロッとやられてしまいますから」
シェリーの愛嬌は両親譲りだろう。ボブにも似ているし、コリンナにも似ている。
そう考えると、シアはふと虚しくなるのだ。