【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 だというのに、この薬は苦いと頭の中で誰かがささやいている。
「まぁ、美味いものではないな。薬が美味かったら、飲み過ぎてしまうだろう? だから適量を飲むように、わざと不味く作られている」
「なるほど。薬の飲み過ぎもよくないですよね。では、いただきます」
 シアは少しだけ躊躇ってから、一気にカップの中身を飲み干した。息を止めて、できるだけにおいも嗅がないように、ゴクリゴクリと喉を鳴らして飲む。
「うっ……やっぱり、不味いです……」
 涙目になって訴えるシアに、ジェイラスはあたたかな眼差しを向ける。そして空になったカップをひょいと奪って、テーブルの上に置いた。
「この子の名前を聞いてもいいか?」
 シアにしがみついているヘリオスを、ジェイラスは抱き上げようとした。
「ヘリオスといいます」
「ヘリオス……」
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