【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 必死にジェイラスと距離をとろうとしているランドルフだが、残念ながらそれは叶わない。ジェイラスは、離れろと言われるたびに顔を近づけてくる。
「ヘリオス。俺の名前と似ていませんか?」
「あ? まぁ。そう言われれば、そうかもしれないか? 最後に『ス』がつくところは同じだな?」
「そうです。名前の響きが似ている。その名前は、アリシアが俺との間に子どもが生まれたらつけたい名前だと言っていたんです。彼女はそれだけは覚えていたに違いありません」
 うっとりとするジェイラスは、知らぬうちに手に力を込めていたようで、ランドルフが「痛い、離せ、この馬鹿力」と言うまで気づかなかった。
「だから彼女がアリシアであることに間違いはありません!」
「だが、彼女自身、自分を証明するものを持ち合わせていない。おまえが、彼女がアリシア・ガネルだと信じたい気持ちがわかる。そのために客観的判断ができていないとも言える。だから、彼女がアリシア・ガネルと証明するためには、やはり彼女の家族の証言が必要だ。もしくは、彼女自身がその記憶を取り戻すかだな」
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