【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 うぅっとジェイラスはうなだれる。
「ただ私も彼女がアリシア・ガネルで間違いないと九割方は思っている。だから、失われた記憶が利用されることを懸念している。それは理解してくれるな?」
「はい……」
 ぶんぶんと尻尾を振って喜んでいたのに、叱られて萎えた大型犬のようなジェイラスの表情に、ランドルフは鼻で笑う。
「ところでジェイ。彼女の記憶が魔法で奪われたのだとしたら、犯人に心当たりはあるか?」
「はぁ、まあ、そうですね。魔法といえば、魔法師。我が国の国家魔法師が、アリシアを狙う理由はわかりません」
「となれば、やはり国外だろうな。どの国でも魔法師は貴重な存在。だからこそ、どの国でも魔法師を囲っているはずだが……」
 他国がアリシアの知っている機密情報を狙っていると考えるのが無難かもしれない。
 ただ、三年もの間、彼女が無事だった事実に、ジェイラスは安堵するしかない。
「だから、おまえをここに残す理由がもう一つある」
 ランドルフの声色が変わった。
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