【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 院長の言葉にうながされるようにして、扉ががらりと開いた。
「おはようございます、シア先生」
「あっ……テリー……?」
「先生。覚えてくださっていたんですね。そうです。昨年まで、こちらの養護院にお世話になっていたテリーです。十六歳になって養護院を出た後は、会長の紹介で王都で働いていました。僕もシア先生のように子どもたちに勉強を教えたいなと思ってずっと会長に相談していたんです。だけど、いきなり勉強を教えるのは難しいし、社会に出て経験を積んでからのほうがいいって」
 シアの胸はじわじわと胸が熱くなる。気を抜けば、涙までこぼれてきそう。
「でも、シア先生が怪我をしたって聞いて。会長がやってみないかって連絡をくださったから、僕、飛んできました」
 王都とサバドの移動時間を考えれば、シアが毒に倒れてすぐにテリーに連絡を入れたのだろう。そして連絡を受けたテリーは、すぐさまサバドへと駆け付けてきたのだ。
 そういえばボブが、ぽっぽちゃんに連絡を頼みたいと言っていたのを思い出した。
「ジェイラスさんのことはすでに子どもたちも知っておりますから、問題ありませんね。では、シア先生が戻ってきたことと、テリー先生が新しく来てくださったことを、子どもたちには伝えなければなりませんね」
< 184 / 375 >

この作品をシェア

pagetop