【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 だが、ジェイラスに抱かれたままのヘリオスは「や」と駄々をこね、ジェイラスの胸にしがみついた。その様子に、シアは苦笑するしかない。
 ヘリオスにとって、ジェイラスの腕はよほど居心地がいいらしい。
「シア嬢。このまま送っていこう」
「え、いえ。そこまでしていただくわけには……」
 シアは遠慮しようとしたが、ジェイラスの言葉がそれを遮った。
「俺は殿下から言われているんだ。シア嬢を怪我させたのは我ら騎士団の責任。君の怪我がすっかりと治るまで、支えるようにと」
 夕陽がジェイラスの黒い髪を橙色に染め、彼の真剣な瞳がシアを捉えた。その熱い視線に、シアの心臓はいつもより大きく鼓動した。
 それは先ほど、テリーが指摘した言葉も原因かもしれない。
(ジェイラスさんとヘリオスは似ている……)
 今だって、ジェイラスと彼の腕に抱かれるヘリオスと交互に見れば、親子と言われても違和感はないし、知らない人が見たら誰もがそう思うだろう。それくらい二人には共通点が多い。こうやって二人並ぶと、よけいにそう感じるのだ。
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