【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 そんなことを考えながら、荷物片手に馬車乗り場へと向かっていたアリシアだが、肩に鳩がぱさっととまった。
「くるっぽ……」
「ぽっぽちゃん。あなた、ついてきたの?」
 伝書鳩のぽっぽちゃん。
 アリシアの相棒のような存在だ。遠くにいる対象者に、素早く正確に手紙を運ぶ。
 しかし、ぽっぽちゃんは第二騎士団で管理している伝書鳩であるためアリシアの所有物ではない。誰かが鳩小屋を開けたときにするっと飛び出てきたに違いない。
 帰りなさいと言っても帰らないだろう。ぽっぽちゃんはなぜかアリシアになついている。
 ぽっぽちゃんは伝書鳩の中でも訓練された優秀な鳩だ。二百キロ以上離れた場所でも難なく手紙のやりとりができる。
 二百キロといえば、王都セレからガネル子爵領までの直線距離くらい。馬車を使って向かうにはもう少し距離はあるが、ぽっぽちゃんなら、一日で王都セレとガネル子爵領を行って帰ってくることができる。
「私があなたを連れ出したって思われなければいいんだけど……」
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