【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 ぼそりと呟くと、まるでその言葉を理解したかのように「ぽっぽっ」と鳴く。
「でも、あなたは馬車には乗れないわよ?」
 問題ない、とでも言うかのようにハト胸を張ったように見えた。
 アリシアが馬車乗り場でサバドの街へ向かう馬車の時間を調べようと足を向けたとき、ぽっぽちゃんがアリシアの服の裾をくちばしで挟んだ。まるで、行くなとでも言っているかのよう。
「ぽっぽちゃん?」
 アリシアの向かう先とは反対方向に服を引っ張る。このままでは、服が破けてしまう。決して上等な服ではないものの、こんな公衆の面前で服が破れたらと想像したら、いや、想像したくない。
「わかった、わかったから。引っ張らないでちょうだい」
 その言葉に満足したのか、服をパッと放したぽっぽちゃんは、アリシアを導くように軽やかに飛び去った。
「ちょ……どこにいくの?」
 アリシアが見失わない程度の速さで飛んでいくぽっぽちゃんは賢いのだ。本当に鳩かと思うくらい。
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