【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
「そうですね……もしかしたら、朝まで起きないかもしれません。たまにあるんです。夕食も食べずに寝てしまって、そのまま朝までって」
「そうか」
 頷くジェイラスの視線は、ヘリオスに向いていた。
「こちら、ギニー国の黒茶です。お口に合うといいのですが」
「黒茶?」
「はい。茶葉が黒いから、そう呼ばれています。あまり出回らないので、ほとんどこの街で消費されてしまいます」
 シアの話を聞いたジェイラスは、恐る恐るカップに口をつけた。初めて飲む茶の香りに、ほんの少し緊張しているようだった。
 シアは彼の反応をそっと見守った。
「これは、香ばしくて後味がさっぱりしているな」
「はい。渋みがないので、砂糖やジャムをいれなくても飲みやすいのです」
「なるほど」
 ジェイラスも気に入ったのか、それとも喉が渇いていたのか、ゴクリゴクリと喉を上下させながら飲んでいた。
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