【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
「後悔……するかもしれません。だけど、そうやって逃げていたら、私はいつまでもモンクトン商会のシアで、ヘリオスの母親で、それだけの存在なんです。本当の私を見失ったまま。それに、もしかしたら、私にも家族がいるかもしれませんし……」
 そもそもシアは、実家に帰る途中にコリンナたちと出会ったのだ。その実家がどこにあるのかはわからないが、その話を信じるならば、確実に実家は存在するはずだ。
「わかった……今、俺が言えることだけ伝える」
 そこで、オーブンのブザーがけたたましく鳴り響いた。ミートパイが焼き上がった合図である。
 部屋に広がる香ばしい匂いが、緊張した空気を少し和らげた。
 ブザーの音に反応して、ヘリオスがむくりと起きた。
「リオ、目が覚めた? そろそろご飯の時間よ?」
「まま~」
 ヘリオスがシアに向かって抱っこをせがむ。シアが手を伸ばそうとした瞬間、ジェイラスが先に動いた。
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