【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 シアはそんな彼らの反応に戸惑い、まるで自分が場違いな存在のように思えてきた。
「つまり、シアとジェイラスさんは、結婚されていた?」
 コリンナの質問に、シアはどこか他人事のような気分で耳を傾けた。自分の過去が語られているのに、心が追いつかない。
「いや。結婚を前提とした付き合いをしていた……つもりだ」
 ジェイラスの最後の言葉は、吐息と共に消えていく。
「シアが女性騎士というのであれば、あのときのあなたの行動も納得できるわ」
 コリンナの目は遠くを見つめ、過去の記憶を辿っているかのよう。
「あのときのシアはとても勇敢だったわ。シアが通りかかってくれなかったら、私たちは今頃、ここにいなかったかもしれない。だからシアには無理を言って、サバドまで一緒に来てもらうことにしたの」
 何度もコリンナから聞かされ感謝を伝えられた話だが、それでもシアにはまったく覚えがない。
「王都からサバドへ移動中、急に馬が暴れ出したの。そのまま馬車に乗り続けるのは危険だってフランクが言って、私たちは馬車から飛び降りたわ。シアはシェリーをしっかりと守ってくれたのよ」
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