【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 シアは膝の上においた手で、ワンピースのスカートをぎゅっと握りしめ、感情の波に耐えた。
「なあ、シア。君はどうしたい?」
 幼子を諭すような口調で尋ねるボブからは、やさしさと気遣いが見え隠れする。
「私は……」
 モンクトン商会で目覚めた日。シアが不安がらないようにと励ましてくれたのはコリンナだった。妊娠がわかり、出産の後押しをしてくれたのもコリンナだ。ヘリオスが生まれると、シェリーが弟のように可愛がってくれた。
 記憶もない、お金もない、仕事もないシアに手を差し伸べてくれたのはボブだ。養護院での教師役はシアにとって天職だった。
 ジェイラスと出会わなければ、きっとこれからも養護院で子供たちに教え続けただろう。
 だけど、それではダメだとシアの心の奥が訴えるのだ。
 家族はどうしている? ヘリオスの父親は?
 会いたい、知りたい――。
 そんな気持ちが膨れ上がってくる。
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