【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 ジェイラスと暮らし始めて十日ほど経つが、記憶が戻る気配はなかった。彼の存在を自然と受け入れているのに、過去の彼を思い出せない。
 シアの心に、もどかしさが募る。
「なるほど……だが、アリシア本人を目の前にして口にするのは、少々恥ずかしいというか……かなり、恥ずかしい!」
「ジェイラスさん、照れ屋さんなんですね」
「いや、そんなことは……」
 ジェイラスは誤魔化すようにゴクゴクとお茶を飲み干し、頬を赤らめた。
「とにかく、俺にとってアリシアは特別な女性だ」
「二人はどこで出会ったんですか?」
「それは、仕事……君は第二騎士団の伝令係だったからな。俺のところに伝令を聞きにきたのがきっかけだ」
 職場恋愛らしいが、シアにはピンとこない。
「まぁ、あのときは俺も、団長になったばかりでいろいろあったからな。そんなときに支えてくれたのが、アリシアだ」
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