【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
「……シア?」
 ジェイラスの心に、不安の影が押し寄せてきた。室内をくまなく探し回ろうとしたが、その考えはすぐに変わった。静かな室内に響くのは、微かな寝息。
 ソファで横になっているアリシアの姿が見えた。ヘリオスも彼女に抱かれるようにして眠っている。慣れない馬車の旅で疲れたのだろう。ほんの少し前には、眠くないと言っていたヘリオスだというのに。
 起こす必要はないが、このままでは風邪を引いてしまう。
 ジェイラスはそっと毛布を持ち、二人にふわりとかけた。
「んっ……」
 柔らかな毛布が彼女の肩に触れた瞬間、少しだけ身じろいだ。だが、起きる気配はなさそうだ。ヘリオスもすやすやとよく眠っている。
「シア……」
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