【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
「あ、あの……」
「まま、だっこ!」
 ヘリオスがジェイラスからシアに向かって小さな腕を伸ばし、じたばたと暴れた。
「こら、おとなしくしていなさい」
 ジェイラスが慌てて宥めようとするが、ヘリオスも顔を背け、背中を反らし、必死に対抗している。
「アリシア……その子は……」
「まま、だっこ」
「すまない。俺ではもう限界だ」
 ジェイラスがヘリオスに負けた。
 シアは息子を預かったが、目の前の両親は目を見開いて、じっくりとヘリオスの顔を見ている。
「ええと……息子のヘリオスです。リオ、お名前、言える?」
「リオよ」
 室内がしんと静まり返り、気まずい沈黙が流れる。だが、幼いヘリオスが空気を読むなど、そんなことできるわけがない。
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