【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 侍女がそっとシアの耳に触れる。冷たい指先が肌に触れ、シアの身体には緊張が高まっていく。
「殿下。ございました」
 侍女の言葉に、ジェイラスもひょいっとのぞき込んできた。
「あぁ……アリシア……」
「お母様?」
 シアは思わず一歩踏み出した。夫人をつい母と呼んでしまったが、彼女は自分の母親で間違いないと本能が叫んでいる。
「アリシア」
 見知らぬ女性に抱きしめられながらも、彼女は母だとそんな確信に満ちていた。
「生きていてよかった……三年もの間、あなたは行方不明で……」
「ごめんなさい」
「でも、殿下から話をうかがって……大変だったのね……」
 母娘の感動の再会の場で「まま~」という幼い声が響く。シアははっとして、母親からそっと離れ、振り返る。
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