【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
「大人の話し合いの場に、この子がいたら気を遣うだろう? 私なりの配慮のつもりなのだが?」
 ランドルフの言うことも一理ある。確かに、この場ではシアがアリシア・ガネルであり、ヘリオスを授かった経緯を話さなければならない。記憶を取り戻すためにも過去をさらい、未来を決めていく必要がある。
「リオ。どうする? おもちゃがいっぱいあるって。お友達もいるみたいよ?」
 シアが声をかえれば、ヘリオスも「おもちゃ」と声をあげる。
「どうやらこの子は、父親と違って物わかりがいいようだ。おいで、ヘリオス」
 その声に従い、ヘリオスはシアの腕からランドルフの腕へと移る。
「アンドリューよりも重いな。だが、父親と違って素直な子だな」
 先ほどからランドルフは「父親と違って」と強調している。そのたびに、ジェイラスのこめかみはひくひくと動くのだ。
「では、ヘリオスは私が預かろう。ジェイラス、おまえはここに残れ。どうぞごゆっくり」
 ランドルフがヘリオスを抱いて退出すると、室内にはガネル夫妻、シア、ジェイラスが残された。ランドルフもごゆっくりと言ったのだから、ここは顔を合わせてじっくりと話をすべきだろう。
< 271 / 375 >

この作品をシェア

pagetop