【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
「おめでとう、ジェイ。よかったな」
 ジェイラスはアリシアと結婚式を挙げた。晴れた空に鳩の羽音が響く。
 聖堂の扉が開け放たれ、純白のドレスに身を包むアリシアと、騎士の礼服に身を正したジェイラスが、大階段の上に現れた。
 ランドルフはクラリッサとアンドリューを連れ、階段の上で二人を待っていた。後方では、生後半年の娘が乳母に抱かれ、愛らしい寝息を立てている。
「ありがとうございます、殿下」
 ジェイラスの瞳には、かつての虚無はなく深い喜びが見える。彼にこのような顔をさせる人間が存在していることが奇跡なのだ。
 アリシアも優雅に頭を下げ、微笑んだ。
「ここでは友人として扱ってくれ、ジェイ」
「おめでとう、アリシア。わたくしも友人として心から祝福いたします」
 いつの間にか、クラリッサもアリシアとの仲を深めていた。クラリッサは自分の護衛にとアリシアをと望んだようだが、それに反対したのはもちろんジェイラスだ。
 アリシアは第二騎士団の伝令係のままだが、鳩の担当となった。それはアリシアが鳩小屋に行くと、鳩たちがおとなしくなるというのが理由らしい。必要であれば鳩を飛ばし、鳩の世話をする毎日。
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