【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
エピローグ
 西の空に大きく傾き、燃えるような太陽が庭園の花を橙色に染め上げる。このような夕日を見ると、サバドでジェイラスと再会したあの日を思い出す。
「シア! リオ!」
 暑苦しい声で名を呼ばれ、アリシアは振り返った。
「おかえりなさい」
「パパ、おかえり」
 夕日を背に、ジェイラスが全速力で駆けてくる。
「外に出て大丈夫なのか? リオ、じいじはどうした?」
 それぞれアリシアとヘリオスに尋ねるジェイラスの表情は、心配と困惑に満ちている。いつでもヘリオスの側にはケンジット公爵の姿があるのに、今日はその姿が見当たらないからだろう。
「えぇ。今日は気分がよくて。それに、そろそろあなたが帰ってくるだろうと思って」
 はにかんで答えれば、感極まったジェイラスがアリシアを抱きしめようとして、ふとためらう。
 さわわと二人の間を柔らかな風が抜け、その先の花を揺らした。
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